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映画『ワイルド・ローズ』が描く繋がる音楽〜グラスゴーとプライマル・スクリームとカントリーミュージック

映画『ワイルド・ローズ』が描く繋がる音楽〜グラスゴーとプライマル・スクリームとカントリーミュージック

主人公が刑務所から出てくるシーンから始まるなんて、

なんてベタな映画だろうと思い観始めたのだが、すぐにやられた。


それはBGMがプライマル・スクリームの「カントリーガール」のカバーだったから。


今作『ワイルド・ローズ』はスコットランド・グラスゴーが舞台のカントリーミュージックをテーマにした映画だ。

イギリスでカントリー???


ご存知イギリスは今でも音楽が外貨を稼ぐ重要な産業で、ビートルズ以降のイギリスの音楽は日本でも愛する人達が多い。


ビートルズはアメリカのロックンロールを愛し、ストーンズはブルースを愛した。


ロックンロールはリズム・アンド・ブルースやブルース、ゴスペルといった黒人音楽をルーツにカントリーミュージックやブルーグラスなどの白人音楽を融合して成立している。


そしてそれらの音楽の発祥地、発展地がアフリカ系アメリカ人が多く住むテネシー州メンフィスである。


『ワイルド・ローズ』の主人公ローズは23才。

保護観察中でシングルマザーでカントリーミュージックを愛するシンガー。

同じくアメリカテネシー州のカントリーミュージックの聖地ナッシュビルを目指し、

家族のためにもシンガーとして成功を夢見ている。


格差のイギリスはきちんと描かれ、

ワーキングクラスが生み出した黒人音楽と通じる。

果たして主人公ローズは悲しみを共有することで生き延びる事ができる歌を作れるのか?



グラスゴーといえばベル・アンド・セバスチャン、フランツ・フェルディナンド、トラヴィスなどを輩出。

ロンドンやマンチェスターとは一線を画すバンド達。

その中でも一番成功しているバンドはプライマル・スクリームだろう。


プライマル・スクリームの代表曲『ロックス』 が収録されたアルバム

「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ」は1994年にリリースされた。

93年にハリウッドとメンフィスで録音されたのだがメンフィステイクはお蔵入り。

我々はメンフィスレコーディングのテイクがあることも知らなかったのだが、

2018年に「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ」オリジナル・メンフィス・レコーディングスとしてリリースされた。

プライマル・スクリームは93年にルーツに会いに行ったのだ。

2018年当時このアルバムを全く評価しないDJも居たけど、音楽的に造詣が浅いのだからしょうがないねw

是非『ワイルド・ローズ』を観てほしいものです。


プライマルのメンフィスレコーディングとこの映画が公開されたのがほぼ同じ時期というのもグッと来る。


プライマル・スクリームのこれまた代表曲「カントリーガール」の主人公ローズのカバーで始まるこの映画はもうそれだけで100点なんです。


さて、ローズはルーツミュージックのルーツを見つけ出し、自分の歌を完成させます。

主人公ローズを演じたジェシー・バックリーはこれまた素晴らしい昨年公開のドラマ『チェルノブイリ』で光ってた。

今年は「ジュディ 虹の彼方に」と「ドクター・ドリトル」も公開。

主演作の今作で更にファンを掴むだろう。


彼女歌唱のサントラも本当にオススメです。


ロックンロールのルーツのルーツと繋がる映画を観て、なんと日本には寂しさを共感させる歌ばかりで、悲しみを共有できる歌が現在皆無であることを認識させられました。


演歌や大人のための音楽が本当に少ないのは需要がないからですかね?

やはり豊かではないんだなぁ。


カントリーやブルースになんか興味ないなんてロックユーザーはロック好きではないのです。

ロックなんてもっと自由で良いだろう!なんてそれ風に行ってもダメよ。


古典や演歌や歌謡曲があってのJ-POPなんだからね。


要はソウルっすね。この映画『ワイルド・ローズ』にはそれがある。


BBCのラジオDJのシーン、素敵でした。



『ワイルド・ローズ』

7月3日(金)よりKBCシネマにて公開

配給:ショウゲート

監督:トム・ハーパー

脚本:ニコール・テイラー

出演:ジェシー・バックリー、ソフィー・オコネドー、ジュリー・ウォルターズ

原題:WILD ROSE

2018/カラー/イギリス/スコープ/102分/PG-12

公式サイト:https://cinerack.jp/wildrose/

© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018




栗田 善太郎
栗田 善太郎

栗田 善太郎 ZENTARO KURITA

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1971年福岡市生まれ。大学時代からラジオ制作に携わる。
2015年 cross fm特別番組『HAPPY HOUSE 〜 The Family's Starting Point〜』で民間放送連盟賞 第11回日本放送文化大賞グランプリ受賞
2018年 CROSS FM特別番組『Let the Good Times Roll!!』が平成30年日本民間放送連盟賞 ラジオエンターテインメント番組部門で、最優秀賞を獲得。
現在はCROSS FM URBAN DUSK、CROSS FM MUSIC AMP、NHK 六本松サテライトを担当。
BIGMOUTH WEB MAGAZINE編集長
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