Bigmouth WEB MAGAZINE

対談INTERVIEW

有馬和樹(おとぎ話) x 西村匠(the perfect me) x 栗田善太郎 待望のアルバム『Thus spoke gentle machine』をリリースしたthe perfect meとアルバム『REALIZE』をリリースしたおとぎ話。 有馬・西村へのリモートインタビュー

有馬和樹(おとぎ話) x 西村匠(the perfect me) x 栗田善太郎 待望のアルバム『Thus spoke gentle machine』をリリースしたthe perfect meとアルバム『REALIZE』をリリースしたおとぎ話。 有馬・西村へのリモートインタビュー

待望のアルバム『Thus spoke gentle machine』をリリースしたthe perfect meと、アルバム『REALIZE』をリリースしたおとぎ話。

レーベルメイトでもあるこの2組。

福岡在住の西村は、おとぎ話のアルバム『REALIZE』でミックスを担当。

『REALIZE』制作では東京・福岡を行き来することはなく、リモートで行われたという。


今回、the perfect meのアルバム『Thus spoke gentle machine』のリリースタイミングで有馬・西村の初めて対談が実現。

世代も環境も違う2組が思う音楽とシーンとは?


2組を知る栗田善太郎のナビゲートで音声とテキストで貴重なインタビューをアップ。



___リモートはいえ顔を合わせて喋るのは初~コロナ禍の中での近況


栗田:皆さん結局ご無沙汰ということで(笑)よろしくおねがいします。


西村:よろしくおねがいします。


有馬:ほんとですよ。


栗田:え、もうどれくらい九州来てないんだっけ?おとぎ話。


有馬:おとぎ話、九州いつ以来だっけな?

   去年行けてない? (去年行けてない。)

   そう、去年はツアー行ってないんで。


栗田:そうだよね~。

   いや、もう、山本さん(the perfect meマネジメント)もアレですけども全然こっちもライブやってないし配信するものも無いからなかなか厳しい状況ですね、福岡も。


有馬:なかなかっすよね。


栗田:うーん。

   おとぎ話でやったの?配信ライブみたいなものは。


有馬:配信は、えーと、2回やったかな。

   新代田のねFEVERってライブハウスがあって。 


栗田:はいはい。


有馬:そう。で、あそこがやっぱり、その、東京のライブハウスの割とプラットフォームじゃないんだけどこれから何やるのかを考える一番なんか頑張ってるところなんでそこでやらしてもらったのが2回かな。


西村:へ~。


有馬:そう。でもなんか対バン形式でやったりとかもみんなしてるんすけど、ちょっとやっぱ東京人がたくさん多いから対バン形式のやつはちょっとおとぎ話はなるべくやらないようにして、

   ワンマンみたいな感じで自分たちだけのやつをやってますね、今は。


栗田:やり方、見せ方、みんなそれぞれ何か考えてる感じはしますもんね。


有馬:そうそうそうそうそう。何でもいいっていう割とやってきたんすけど、今なんか一番何でもいいじゃない方が自分たちに合ってるかなと思って。


栗田:毎週、毎日、どっかで配信ライブやってるんで、まぁ僕らも時間がある時は観たりもするんだけど、

   西村くんはどう?観たりする?


西村:いや~それがまだ一度も観たことがなくて。配信ライブ。


栗田:なんかね、不思議っちゃ不思議よね、配信ライブって。


西村:そうですね。


有馬:なんか配信ライブでSE流して出てくるバンドとかもやっぱりそこで声上げられないから、なんかね、異様なのよ。


西村:ははははは(笑)


栗田:ははははは(笑)


栗田:あとその演奏中とMCの温度差がすごいね(笑)


有馬:あるあるあるある!


西村:あ~


有馬:俺たちMCしてないっすもん。


栗田:しない方がいいと思う!


西村:なるほど。


栗田:俺も絶対しない方がいいと思うんだよね。あん時にもう、こっちも何か白けちゃうんだよね。


西村:あははは(笑)


栗田:急になんか楽屋みたいになっちゃうんだよね、MCが。お客さん居ないから。


西村:あ~。


有馬:分かる分かる。


栗田:しないならしない方がいいな。


有馬:おとぎ話が最初にやった配信のやつは、俺が無理やりミュージックステーションの司会みたいに俺が一人でトークをやって、今日のゲストは手前味噌ですけど「おとぎ話」ですって言っておとぎ話を紹介するっている番組に無理やりしました(笑)


西村:あははは(笑)


栗田:あははは(笑)

   いや絶対いいと思う、そっちの方が。本当。


有馬:めちゃくちゃバカでしたけどね(笑)


栗田:もうあとはほらもう、カメラめちゃくちゃ入れるとかね、もう割をめっちゃ徹底して、もう事前に撮ってるやつを配信するっていうパターンもあるしね、生じゃないパターンもね。


有馬:確かにそうっすよね。



___おとぎ話がアルバム「REALIZE」のミックスを依頼~新たなチャレンジ


栗田:いやでも、せっかく今日はね、あの「REALIZE」のミキシングを頼んだっていうのが最初のきっかけになるのかな?


有馬:そうっすね。


西村:そうですね。


有馬:それで、その一個前のそのthe perfect meの配信してた音源とかは、felicity(おとぎ話とthe perfect meの属するレーベル)の櫻木さんから教えてもらってて。

   「有馬くん、the perfect meとか好きだと思うんだけど、どう思う?」とか言われて、結構だから去年とか最初の方の音源とかもすごい櫻木さんが聴かせてくれてたんで割と馴染みはあったんですけど。

   今回「REALIZE」を作る時にまあ別にリリースするとかを目標じゃなくて今のおとぎ話のムードでとりあえず録るみたいなのがあったんでそれをミックスとかする時に「どうする?」って話してた時に普通に単純に西村くんに頼もうかっていう流れになったんですよ。

   ホント普通の流れで。自分たちだけでやんない方がいいよねみたいな。


西村:あ~、いやでも、最初にお話を頂いた時は驚きましたけど、すごく。どうしてだろう?と思って。


有馬:なんか、おとぎ話ってちょっとやっぱり、70年代とか60年代のガレージっぽいバンドのサウンド…どうしてもギタリストがもうOASISしか好きじゃないから。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


有馬:どうしてもそっち、90年代っぽいことをしようとしちゃうんで。


西村:あ~。


有馬:新しいチャレンジする時に、やっぱり自分たちと同じ世代の人とかじゃない人と仕事をしてみたいっていうのは単純にあったっていうか。


西村:なるほど。


有馬:耳がたぶん全然違うから。新しい耳でおとぎ話聴いてくれる人と本当になんか音楽作れたらいいなって単純に思ったんだよね。


西村:なるほど。でももう、あの、今まで私も昔UTERO(福岡市のライブハウス/スタジオ)で働いてたりとか。おとぎ話自体は知ってたので。知ってたし聴いてたから、ただでも、今までのそのおとぎ話のイメージと全然違うものが来て、これは手強いぞと思いながら。


有馬:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


有馬:手強すぎだよね、あれね。最悪な音源ですから(笑)

   

西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


有馬:何にも入ってないからね、ドラムも叩かねぇわみたいな。


西村:そう、だから、結構あの、事前に答えた質問にも書きましたけど、


栗田:うんうん、書いてあったね。


西村:理解するのが少し時間かかりましたね。


有馬:あれでもね、俺読んだ時ちょっと震えた。

   めちゃくちゃありがたいと思ったし。


栗田:これね、たぶん後々の為にも僕がこれ読ませて頂きますね。

   

有馬:はい。


栗田:西村くんが感じたこと。「データをもらって初めて聴いた時は全体像と着地点が見えずどのようにミックスしたものかと困惑した」と。


西村:あはははは(笑)


有馬:そりゃそうですよ(笑)

   イメージが。


栗田:「今の形に気づくのにはかなり時間を使ったと思います」と。


有馬:ありがとうございます!


西村:いえいえ、とんでもない。


栗田:で、「根底に見つけた残り火のような退廃芸術性を消さぬよう、あるいは延焼させぬよう眺めることに務めました」と。

   これはなかなか難しいですね、文章で伝えるのにね。


西村:そうですね。


栗田:面白いなぁ、例えがね。


有馬:なんかおとぎ話の終末思想みたいな、割とひょうきんなんで、僕。

   ひょうきんなんだけど、結局世の中終わってるよねみたいな距離感みたいなのをここまでバレてんだなと(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:「その尽きかけているかがり火の行く末を見守るような気持ちです」と。

   「救われないことというテーマを感じ取りましたが、私には同時に怒りの裏面としての人間愛もうっすらと見えます」と。

   「しかし火は消えかけ、ここはあまりにも暗いので、これが見間違いでなければ良いのですが」という、まずは「REALIZE」というものの音源を聴いた時の感想ですね、西村さんの。


西村:そうですね。


有馬:すごいですよ、これもう。

   このまま4週間ぐらい飲み続けたいぐらいのね、久し振りに本当に思いました。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


栗田:これ昨年だから、2019年だよね?


有馬:そうですね。


西村:そうですね。


栗田:2019年って僕も感じてたんですけど、日本は新元号になって、急に元号でやってたけどそもそも西暦でいくと10年代の終わりだったんだよね、昨年って。


有馬:本当にそうなんですよね。


栗田:それが世界中は割とアーティストが感じてて、正にこういう作品が結構あったんだけど、それを感じてる日本の人がちょっと少なかったかなというような気は、確かに印象はありますね。


西村:うん。


有馬:よーく考えたら、リモートも先取りしてるし。


栗田:うんうんうん。


西村:あー確かに。


有馬:なんだろうなこれ、って感じはしますね。


栗田:ね、だから逆に言うと今年にハマるんだよね。


有馬:そうそうそうそうそう。


栗田:なんとなくこのコロナ禍の状況とハマってると。

   で、そのミックスをするということで、まぁ所謂こう、遠隔でお互い会わずにやってるってことですね、これもね。


有馬:そうそうそう。


西村:そうですね。


有馬:会いたくて仕方ないってね、だから今、ホントにこの感想を見た時、素直に「抱いてくれ」と思いましたよ、ホントに。

   素直にサッと出ましたね、一言だけ(笑)


栗田:いいよね。もうなんかWEST(福岡のうどんチェーン)かなんかで朝までずーっと飲んでればいいよね、2人で(笑) 


有馬:そういう感じですよね(笑)


西村:あ~いいですね。


有馬:会ったが最後みたいな(笑)



___the perfect me の『Thus spoke gentle machine』というアルバム


栗田:で、今回はあれだね、the perfect meのアルバムを聴いての感想も、有馬くんが書いてくれたので。

   『Thus spoke gentle machine』についての感想。

   「個人的にELOのジェフ・リンの様に西村くんのことを感じている」と。

  

有馬:はい。


栗田:「メロディーの良さに関してはモータウンのシングルヒット的なキャッチーさがある」と。

   「なのにとても現代的・未来的な耳を持っているので、とてもモダンな感性。好きにならずにいられない。最高です。」

   いいですね。このお互いの恋文のようなラブコールを(笑)


西村:ありがとうございます。


有馬:でもアルバム聴いた時、最初にコーラスで始まるでしょ?


栗田:そう!


有馬:あれがちょっとマジで漏らすかと思った、ホントに。

   ビビッときてこれヤベぇなぁと思ったら、なんだろ、すっごい聴きやすいスティーリー・ダンみたいな。


西村:あ~、それは嬉しいですね。


有馬:それがすごい良くて。

   スティーリー・ダンがこれやっとけよ、みたいな。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


有馬:ドナルド・フェイゲンはでも、性格悪すぎるからここまでいけないんだなって。


西村:確かに(笑)ひねくれてますからね。


栗田:あはははは(笑)


有馬:でも割と西村くんにそれぐらいのなんか狂気を感じるというか、その、潔癖な、なんだろな。

   ポップさに関する潔癖さとか、クラシックを聴いてるっていうのも、最近それで広がったっていう風に書いてあったというのも全部含めてだけど。

   なんかね、その、狂気っていうかね、メロディーとか音の配置とかに対する狂気を感じるっていうか。


西村:あはははは(笑)


有馬:それがすごい良いんだよね。

   なのに、めちゃくちゃなんかポップなんだよなぁ。


西村:恐縮です。ほんと嬉しいですね。

   あんまりこう、何ていうか、今回のアルバムそんなにその何だろ「あ~すごい良いね!」みたいな反応される事が多くて。

   「ちょっと私は分かりませんけど。」みたいな反応が多かったので、結構。


栗田:今までがってこと?


西村:その今回のアルバムの、いや、どうでしょうね。

   もちろんちゃんと、俺はどういう風に聴いたよっていうように言ってくる方ももちろんいらっしゃるんですけど、なんかこう、あんまり、これは私はちょっと良く分かりませんみたいなテンションでこられることが多くて、少し残念なことが多いですけど。


有馬:へ~。


栗田:その、ちょっと高度に感じるってことなのかな?


西村:高度かどうか分かんないですけど、ま、時間がかかるのかもしれませんね。


栗田:そうね。


有馬:まぁでもね、それ俺も20年やってきてるからね、俺は結構理解されないところでやってきてるけど、それだけで言うと全然the perfect meは理解されると思うんだけどな。


西村:それは良かった。


栗田:うん。


西村:いやだから、改めてしっかり感想を頂くと嬉しいですね。


有馬:あらら、そんな。でもなんか、あの、ストリーミング今主流になってきてるから、なんだろうね、東京へ行くと若い西村くん世代のミュージシャンとかわりとおとぎ話は謎に慕われることが多いから話してるけど、

   なんかね、やっぱり日本に居るから同世代感というかちょっとね、今20代前半とか20代の子とかがまた音楽的にホントに色んなものを聴いて自分が好きな趣味を大きく出来るという状況に今来てるから、

   だからなんかね、よりマニアックな音楽がたぶん増えてくると思うのよ、これから。


西村:なるほど。


有馬:そうなると、the perfect meとかがすごい貴重になってくると思う。


西村:あ~。


有馬:やってることとかが、もうちょっと、日本はどうしても閉鎖されてるからアイドルとか見ててもそうだけど、そこがなんかもう一回なんかマニアックな本当に音楽好きな人たちのものになる気はしてるんだけどね。


栗田:僕もそれは感じますね。非常に間がちょっと抜けちゃったなって感じがするっていうか。


有馬:すっぽり抜けましたよね?


栗田:すっぽり抜けてる。


有馬:ホントにね。


西村:それは確かに。


栗田:だから非常に音楽がホントに好きで音楽をちゃんと知ろうとしてるし掘ってる人たちがやっぱり出てきたなって感じはすごいするよね、今はね。


有馬:そうそうそうそう。

   そこでなんか独自のポップさみたいなのが作る人たちによっての個性がまたちょっとこっから出てくるんじゃないかなと思って。


西村:うんうん。


栗田:うんうん。


有馬:だから西村くんの作ってるthe perfect meの音楽は割と調べようと思ったら、例えば俺たちの世代、40ぐらいの世代の人たちにも、あと俺たちよりもちょっと上の世代の人たちの耳をくすぐるっていうか、そういう、探したら、あ!これ、西村くんここかもしれないみたいなのがあって。

   それがね、音楽の旅っていう感じを聴いてると感じるんだよね。アルバムを。


栗田:確かにね。


有馬:より広がりはたぶんここから出てくるとは思うんだよな。


栗田:うん。いや、でもそのホントにジェフ・リンに例えたようにね。


有馬:割と結構言い得てると思ってるんですけどね。


栗田:僕も思う。それにピンとこれるかどうかというのは、the perfect meの音楽を聴いて引っかかるかどうかにもつながると思うんだよね。


西村:なるほど。


有馬:うんうんうん。


栗田:でも今、すごい勢いで西村くんがライナーノーツ*1を書いてるを書いてるじゃない、SNSに。


西村:あはははは(笑)


有馬:うん。


栗田:すごい文量で!


有馬:あれすごいよ、ホント。


西村:いや~ほんとにきついです。いや~ほんと大変ですね。ちょっと。


有馬:読んでる方も向き合うの大変(笑)


栗田:そうそうそうそう(笑)


西村:誰も得してないかもしれないですね、じゃあ(笑)。


栗田:あれ、きちんと残したほうが良いんじゃないかな?あんまり、流すというよりはね。


西村:もちろん文章自体はちゃんと取ってはいるんですけど。

   ただでも、最初4曲目から書き始めたんですよ。タイトル曲から。

   …ちょっと張り切りすぎてしまって。


栗田:ふふふ(笑)


有馬:そうだね、曲数多いのに張り切っちゃったね(笑)


西村:そうなんですよ(笑)

   あの曲、文字数確認したら3千字ぐらいあって。


有馬:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


西村:これ他の曲どうすんだって思いながら。


有馬:ヤバいヤバい。立派な論文。


栗田:ほんとほんと。ほんとだよね。


西村:そうなんですよ。だから始める前、4曲ぐらい貯金があったんですけど、毎日1曲挙げてたから、今貯金が尽きてしまって。


栗田:あはははは(笑)

   そんなに自転車操業でやってたの?!セルフライナーノーツを。


西村:実はそうなんですよ。


有馬:いいね!



西村:だから今日はどうしようかな~とか、考えながらてんやわんやしてますけど。



___バンドとしてソロユニットとして


栗田:おとぎ話はもう今このメンバーで何年になるの?


有馬:俺たちはもう20年やってますね。


栗田:あぁ~ほら。


有馬:大学で会ったから。

   ドラムは代わってるんですけど、代わったっていっても同じ大学の同級生が入っただけなんで。だから出会ってからもう20年経ちました。

   うちのギターが2個下なんですけどギターも同じ大学なんで18年なんで、もう単純に、ちょっとすごい。


栗田:ね!

   西村くんは逆に言うと一人になって今回始めてアルバムを作ったってことだからね。

   バンドっていうのはなかなかやっぱり大変だと思うんだけれども、続く有馬くんに聞くとなんかコツはあるの?やっぱり続けていくコツっていうのは。


有馬:完全に他人だと思うことですね。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)

   そうよね。


有馬:そう!そうなの。

   で、メンバーって考えたりビジネスパートナーって考えると絶対無理なんで。ただの友達。マジでただの友達。


西村:あはははは(笑)


栗田:そう思えるのすごいな~。


西村:いや~そうですね~。


有馬:それはほんとね、ほんと去年とかやっと今年になってすごい感じて。


栗田:あはははは(笑)やっぱそれぐらい時間かかるんだ。


有馬:めっちゃかかる!めちゃくちゃかかりましたよ、もうほんとに。くたびれました(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:そうだよね、みんなすごいよね、何十年もやってるバンドね。


有馬:ほんとほんと。もう化石みたいなもんですからね。もうでも今やってるバンドは。


栗田:でも西村くんは今回一人になって着々と積み上げて今回のアルバムまでたどり着いたけども、一人の良さっていうのはあったの?今回は。どうなの?


西村:何ていうかその、まぁただ曲を作ることに関しては元々ずっと一人で作っていたので、特にそこは違いはあんまりなかったんですけど。

   なんと言いますか、でも、別に大きくなにか変わったという、現実的に何か変わったという訳ではないんですが、すごく心が軽くなりましたね。


栗田:お~いいね~。


有馬:すごい良いじゃん。まじでファースト・アルバムだよね、自分個人としてのね。ほんとにね。


西村:そうですね。


栗田:…無ければ無くていいもんね、その面倒くさい人間関係って。


西村:あはははは(笑)


有馬:いや、ほんとにね無いに越したことないんですよ。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)

   いやでも今は主流DTMとか、まぁトラック作る人と歌う人とか別れてきたけども、ほぼ一人でやってる人たちも増えてきたもんね。


西村:確かにそうですね。


栗田:これはこれで純度が高くて良いのかもしれないけど、何かこう他人の目が入りづらいということもあるのかな、という気もするんだよね、作品として。その辺はどうかな?


西村:確かにそれは一人でやってると陥りやすいことだったりとか、気づかないこともたくさんあると思うので。

   やっぱりこうやってると「あぁちょっと誰か意見くれる人欲しいな」とかそういう風にふと感じるときはありますね。

   

栗田:うん。


西村:ただでも、以前じゃあ意見くれてたかというとそういう人でもなかったので。


有馬:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)結局ね。


有馬:結局。良かったね(笑)


西村:結局違ったといえば違ったのかなとは思いますね。


栗田:そうね、結局あんたが好きなようにするっちゃろっていうような話になるけんね。

   そうかそうか。

   


___音楽遍歴と音楽の聴き方


栗田:2人の音楽遍歴*2もいっぱい書いてもらったんでね。面白いね。

   これ、お互い読んで気になるところとかありましたか?これは。


有馬:あ~でもね、やっぱクラシック今聴いてから広がったというのはすごい独特。

   俺なんてもうロックロックロックでここまで来ちゃってるから。


栗田:うん。


西村:あ~。


有馬:なんか俺も聴いたこととか、ストラヴィンスキーとか普通に聴いたことあるけど、ロックっぽい聴き方をするっていうか。

   ピンク・フロイドも聴いてたよねみたいな感じで聴いてるから。


西村:あ~。


有馬:なんかちょっと俺の広げ方とは全然違う感じのかな。

   だから音楽っていうのを一人称で見てる感じよりは、なんかもうちょっと多面的に見てる感じがするから。

   そこがちょっと他の音楽の作り手、一人で作っている人の作り方とはなんかちょっと違う感じが、俺してるんですよね。


栗田:どうですか西村くん。


西村:いやでもすごいたくさん、本当にたくさん聴かれてるんだろうなと、有馬さんのを読んで思いました。


有馬:単純にただ聴いてるだけだからね。


西村:いやいやいや(笑)

   結構、意外と私はあんまり量というより繰り返し同じ曲を聴くタイプで。


有馬:うんうん。


西村:たぶん私が知らない音楽をたくさん知ってらっしゃるでしょうし。

   当然ですけど。


有馬:それはね、意味ない行為をずっと俺はしてるけどね(笑)


西村:いやいやいや。


有馬:でもその一曲を聴く時にさ、分析脳で聴くの?


栗田:あ~それは気になるね。


西村:分析脳っていうのは…


有馬:例えば、この曲はこういう風になってるから自分の曲に後でこうやって落とし込めるんじゃないかとかさ。


西村:あ~、もちろんそういう風に聴く回もありますね。


有馬:なるほどね。


西村:ただでも、普通にあ~これはもう良い曲だなと思いながら聴く回もありますし、ただなんか散歩しながらあ~すごい風が気持ちいいとか思いながら聴くこともありますし。いろいろですね。

   ただでも、繰り返し、それこそ散歩しながらずーっとその曲しか聴かないっていうこともあります。


有馬:ヤバいね。


西村:同じ曲ばっかり。


有馬:そうなるとすごいよりストイックになっていくのかなとかも思う。


西村:あ~確かに。そうですね。だんだんやっぱり分析寄りになっていくかもしれないですね。


有馬:そうだよね。最終的にはね。


西村:そうですね。でも面白いのは日を空けてまた聴いてみたりすると、あれ?こんな曲だったっけ?みたいなそういう発見もあったりして。


有馬:あぁいいね。まぁその気づきがたぶん独特なんだろうな。他の人とはまた違う広げ方を自分の中でしてる感じがする。


西村:なるほど。


栗田:普通に聴くんだね。そうやってまずはね、僕らみたいに、ニュートラルに、ちゃんとね。


西村:聴きます(笑)


栗田:何かこう、切り替えるっていうか、そういう時間って散歩だったりする?

   有馬くんとか何かある?そういう時間って。


有馬:あでも、散歩とかって…散歩か...もそうだし、でもまぁやっぱり四六時中だいたい音楽がどうのこうのって考えてるかもしれないですよね。普通に。

   その方が楽しいし。それをしたいから今やってると思うんで。


西村:あはははは(笑)


栗田:そうねぇ。でもこう、耳とか疲れない?


有馬:あでも、そうっすね、なんかその、めちゃくちゃJ-POPとか聴かないんで、疲れはしないかもしんないかな(笑)


栗田:そうよね、そうかそうか(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:好きなものを選んで聴けるからいいんだよね(笑)


有馬:疲れはしないっすね、そう考えたら(笑)


栗田:いや、なんかほんと、それは俺の職業がちょっと違うからだと思うわ(笑)

   

有馬:くりぜんさんはめちゃくちゃ疲れそう(笑)


西村:確かに(笑)


栗田:好きなものだけ聴いてりゃいいんだけどね(笑)確かにそうなんだよね。

   全部一応聴かなきゃいけないっていう使命感があるからね、こっちはね(笑)


有馬:確かに確かに。


西村:あはははは(笑)


___これからの音楽シーン~経験に縛られない想像力


栗田:で、おとぎ話は今何やってるの?何か制作みたいなものって何かあるんですか?


有馬:今週末(8/15)にライブが一個決まってて、東京のキネマ倶楽部っていうところでやるんですけど。

   それをもう敢行しようと思って。


栗田:おぉ~。客入れの?


有馬:客入れで、まぁ、どうやっても赤字になっちゃうからちょっとそこは頑張って2回公演とか、昔のビートルズじゃないですけど、やって。工夫してやろうかなっているところまでは来ました、やっと。


栗田:そうだよね~。


有馬:はい。でも誰かがやんないと、というのはあって。


西村:なるほど。


栗田:いや~でも確かにそうなんだけど、戻るっていうイメージはある?やっぱり。


有馬:今まで通りに戻るってイメージですか?それはまぁ無いっすね。


栗田:無い?


有馬:無い、普通に。だから戻ったら嬉しいし、戻った方が俺は良いとも思うんだけど、戻らないつもりで音楽やってた方がなんか普通の考えなのかな、とは思ってます。


栗田:そうねぇ。

   俺もつくづく最近思うんだけど、音楽が好きとか、音楽が無いとダメだと思ってる人たちって、基本こう、悲観的っていうかさ(笑)


有馬:そうっすね。


西村:あはははは(笑)


栗田:ネガティブなんだよねやっぱり、自分も含めてなんだけど。

   だからいくら明るい未来を想像しようとか、口では言えるけど基本やっぱりネガだったりするから、俺も「戻んねぇんだろうな」みたいな風にやっぱ思うんだけどもね(笑)


西村:あ~。


有馬:でもだからこそですけど、自分勝手に都合よく捉えようと思ってて。


栗田:そうだね。


有馬:そう。逆に、例えばモッシュしたりとかああいうのよりも、もしかすると椅子があって、それぞれがそれぞれの音楽を楽しめるような時代がまた来るのかもしれないなとも思ってるから。

   そうなったらね、the perfect meとかおとぎ話の出番じゃないですか、言うたら。


栗田:確かに。そうだね。


西村:あはははは(笑)確かに。


有馬:そっちに対しては結構そうなって欲しいとは割と思ってますね。


栗田:そうね。でもやっぱりこれをきっかけに良い方に行くだろうということももちろん、自分たちが頑張れば良くなるんじゃないかという気持ちはある?


有馬:あるある。それしかないっすよね。


西村:あはははは(笑)


有馬:だからとりあえず、めちゃくちゃ曲書いてますもんね(笑)


栗田:すごいね~。


西村:あ~素晴らしい。


栗田:結局、俺もそうだと思う。とにかく、自分が楽しい事とか自分がやりたくて我慢してたこととかを全部今からやっても良いんじゃないかなと思うようになってきた。


有馬:確かにそうっすね。


西村:それすごい素敵っすね。


栗田:そうじゃないと、無理っぽくない?っていうかさ、なんか。もうある程度ちょっと心で我慢してるじゃん、なんとなく。でもそれを上回るパワーってやっぱそういう風に思わないと何も出てこないもんね。


有馬:確かにね。


西村:あ~確かに。


栗田:いや、すごいね。曲いっぱい書いちゃうっていうのはもう、正しいと思う。ほんとに。


有馬:でもやっぱり、ラブ・ソングにしても、今までは絶対に2人が出会って2人が触れ合うっていうのがラブ・ソングだったから、なんかそうじゃない、好きなのに会えない気持ちみたいなのを新しい感覚で書けるっていうか、よりすごいブルースっぽくなってきたっていうか。


西村:なるほど。


有馬:それはちょっと感じてるんすよね。すごい切なさがより引き立つというか。


栗田:いや、それに蓋してきたんだよね、結局ずっとね。


有馬:そう、なんか会える喜びとかをとにかく歌ってきたから。


栗田:日本のポップスが特にそれに蓋をしてきたので、ルーツに行かなかったんだよね、敢えてね。


有馬:そうっすよね。頭いいっていうか、そういう文化だしっていうのもあるんだろうけど。

   でも今は逆に歌おうと思ったら、iPhoneの中には無いけど普通に世の中見ればこういう事が起こってることも知らない人も割といるっちゃいるし。


栗田:うんうんうん。


西村:うん。


有馬:だから、なんかいろんなところに目向けたら面白いこと転がってる気はしてるんすよね。


栗田:うん。


西村:確かに。


栗田:あとは何か変化に対して柔軟性があればいいよね、自分たちがね。


有馬:そうっすね。

   想像力はほんとに今一番試されてますなぁ。


栗田:そうだよね。

   だから西村くんたちはもう、まっさらなところから何でも作れるっちゃ作れるかもしんないもんね。


有馬:うん。



西村:あぁ、なるほど確かに。そうですね。


___地方都市での活動と作家性


栗田:うらやましい。面白いと思うな。

   なんとなく西村くん、今回日本語詞も入ってたけど英語の曲が多いけど、なんか福岡に居ながらだし、別にその東京とかあんまり思ってないってことなのかな?


西村:まぁ、うーん、そうかもしれないですね(笑)

   ただまぁその、別に福岡が良いっていうよりは、別に移動する理由がそんなにないなっていう。


有馬:うんうん。


西村:元々その、もちろんライブもしてましたけど、そこまでその、個人的には自分の活動としては重きを置いてなくて、気持ちの中では。

   だから、今回のこういう状況になってそんなに個人的に変わってはないですよね。なんとなく。ずっと一人で家で作ってたし。別にそれがメインだったので。

   何かそれでライブが出来なくなって苦しいなっていうのは、もちろん無くはないですけど、それで何かこう疎外されたような気持ちになったりはあんまりしてないかなっていうところですね。


有馬:うんうんうん。

   何か音楽が元々好きな人のすごい正しい意見だと思う。それは。

   そうじゃなくて「ありがたいことに」っていう一言で、お客さんにやっぱり依存してるミュージシャンが多かったから、そういう人たちがめちゃくちゃ辛いんだと思うのね、今。


西村:なるほど。


有馬:俺たちもまぁ、そうっちゃそうだったんだけど、それよりも先に割とその、お客さんと場を共有するみたいな曲を書いときゃ良かったんだけどなかなか書けなくて(笑)


栗田:あはははは(笑)


西村:あはははは(笑)


有馬:それでここまでやってきちゃったから、なんか割と俺たちも4人であんだけロック・バンドとしてのすごいちゃんとしたライブやってきたのに、何ていうのかな、割と結構ずっとただスタジオで合わせてるの楽しいって感じなんだよね。ほんとに。


西村:あ~。


有馬:それって結構割と今の西村くんが言ってた、スタンスとしては実はそんなにこんなロック・バンドでも変わってないっていうのは居て、いろんな人がいろんなこと思っていいと思うから、俺たちみたいなミュージシャンも居るんだよっていうのはちょっと教えてあげたい気はしますよね。だからありがたい。今日とかは。ほんとに。


栗田:確かにね。それもあるね。


西村:まぁ、ライブをやったらやったですごい楽しいし、あ、またやろうって思うんですけどね。

   次の日には、あぁ疲れたってなってますから(笑)


栗田:なんかでもその、聞き手を想定して作るみたいなことは無いんだあんまりまだ、じゃあ。


西村:基本的には…私の音楽は私のものなので。


有馬:うん。


西村:あんまりその、人に対してとかそんな風に書くことはないですね。


有馬:うん。


西村:確かにそう言われてみると何か冷たい感じもしますが。


有馬:でもねぇ、聴いてくれたら嬉しいからね。絶対に嘘じゃないからね。


西村:もちろん、感想をもらえたりとか褒めてもらえたりするとそれはもう嬉しいですからね(笑)


有馬:とにかく褒めて欲しいしね!ほんとだよね!


栗田:あはははは(笑)

   そうじゃないとね、そんな面倒くさいことやらないよね(笑)こんな(笑)


有馬:やんないよ!こんな面倒くさいことやんない!ほんとに!(笑)



西村:ほんとに、確かに(笑)


栗田:実際、手応えはどうなの?西村くん的には。アルバムが完成して。


西村:手応え?そうですね、まぁでも、実際そのどれぐらいの人がちゃんと聴いてくれるかっていうことに関しては、あんまり期待はしていないというか。


有馬:うん。


西村:実際にその、なんでしょ、知られるというか認知されるという意味で広がっていく状況とは別に、このアルバムをどれぐらい理解されるかっていうことに関しては、あんまりそんなにはたぶん見向きされないだろうなって感じがしますね。


有馬:ふふふ(笑)


栗田:ふーん。


西村:ただでも、なんかその、なんだろ。それこそさっき、冒頭に真ん中がすっぽり抜けてるっていうお話があったと思うんですけど。

   なんかやっぱり、なんでしょ、サブスクもあり、どんどん手軽になっていっているので、ただまぁ探すのも楽だけど、なんでしょ、例えば最近フードプロセッサーを買ったんですけど、フードプロセッサーを買う時に、私はフードプロセッサーに明るくなかったので、

   やっぱりAmazonでレビューを見ながら買ったわけですよ。こういうメーカーがあってこういうのがあるのかっていう風に調べたんですけど。

   まず、星がいくつ付いてるか人の感想で、とか、値段はいくらかとか、実際レビュー読んでみてなるほどこれはこういう感じなのかと思いながら選んで買うじゃないですか。

   これはでも、フードプロセッサーに明るい人たちからしたら、いやいやそれは初心者が買うやつで、違う、そんなもん買っちゃダメなんだよっていう意見ももちろんあると思うんですね。

   それが最近音楽でも似たようなことがより増えてるのかなと思って。

   我々が思うより、たぶん皆音楽に注意を払ってないし、わかりやすいレビューの付いたわかりやすい見出しのついた手軽にすぐに聴ける探す手間のかからない良い曲があれば当然それに飛びつくわけで、

   それを考えるとリスナーの理解度とか抜きにして、そもそも手間がかかるという点で今回のアルバムは選ばれないだろうなという感じです。


栗田:あはははは(笑)そこなんだ!


有馬:あはははは(笑)


西村:まず、個人個人の音楽に対する理解度を別にしてもやっぱりそういう理由があるので、そう考えると手軽に届く音楽ばっかり飛びつく層と、元々音楽が好きでどんどん地下に潜って行く人たちと、真ん中があんまり居ないのかなっていうところですね。


有馬:いやでもほんとそうだよね、真ん中いないですよね。


栗田:居ないね。


有馬:90年代とかの時は割とその真ん中が居た感じがする。おしゃれだと思って聴いてる人たちとかがそういう人たちだったんだよね。


栗田:俺らが20代なんだよね、90年代って。とにかくカルチャーが全部繋がってたんだよね。洋服も映画も音楽も全部繋がってたから。それ知ってる・知らないでもう、皆必死なのよ(笑)だからボリュームがあったね、そこにはちょっとね。ボトムもあったしね。

   それは面白かったね。


有馬:確かに確かに。未だにテレビとかで使われる曲とか主題歌の方がやっぱりね、テレビ出るっていうことの方が未だにやっぱ日本はね。

   もっと価値観が違う人たちがたくさんいるっていうのが面白いから。


栗田:そうだね。


有馬:さっきの西村くんのフードプロセッサーの話を俺とくりぜんさんが優しくずーっと聴いて、この時間をこうやって共有してる俺たちってなんかすごい良いなみたいなのあるじゃないですか。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


有馬:この余白を埋められると、その距離が縮まる感じが俺結構するんだよな。


栗田:確かにね(笑)確かに確かに。


西村:なるほど(笑)


有馬:なんかお互い分かってる感じっていうか。


栗田:面白い面白い(笑)そうかもね。


有馬:そうですよほんとに。

   すごい大切な時間だったな。


栗田:いや大切な時間だったと思う俺も、ほんと。


西村:あはははは(笑)


有馬:ね!くりぜんさんと俺すごいもう、隣に居たら肩組んでたと思う。


栗田:あはははは(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:たぶん西村くんが言ってる時ね、顔を見合わせてうなずいてるよね、黙ってね(笑)たぶんね。


有馬:今良いな~って(笑)



西村:肩(笑)


___the perfect meが産み出した名盤『Thus spoke gentle machine』


栗田:でもこの今回出たアルバムはじゃあ、今年ちょっと記念碑的に僕の中でも残るかなって気はするね、今んとこ出てる中ではね。


有馬:うんうん!


西村:それは嬉しいですね。


栗田:それぐらいやっぱりこう、私・音楽というか、もうほんと西村匠にしか出来ないアルバムだなと思うのでね。


有馬:そうっすよね。


西村:なるほど。


栗田:どこにも媚びてないし(笑)


有馬:そうそうそうそうそう。


西村:あはははは(笑)


有馬:普通に聴いたこと無いアルバム聴くって嬉しいですよね。


栗田:いや、そうなんだよね!

   それがこの始まり方から最後まで、今まで配信されてた聴き馴染みのある曲もアレンジがちょっとずつ変わったりとかしながらね、バーっと並んでるから。

   曲数のボリュームも含めて、アルバムっていうものの聴き応えはすごいあるね。


有馬:あるある!この一曲目で最後の曲誰も想像しないもんね(笑)


栗田:うん、しなーい(笑)


有馬:当たり前だけど(笑)


栗田:こういう時間の使い方が出来るといいね、アルバムを丸々聴くっていう時間がね。


有馬:そうっすね。


西村:確かに。


栗田:みんな難しいんだろうな、そういう事するのがなぁ。


有馬:もう結構生き急いでますからね、みんなね。


栗田:3分だね、曲が今全部、サブスクで。


有馬:そうっすね。まさかこんなに短くなるとは思わなかった、ほんとに。


栗田:4分半が無いね、今ね、新曲で。長くて4分10とかそれぐらい。

   で、イントロがね、だいたいもう10秒台?やっぱり。俺ら仕事だから毎回計るから分かるんだけど如実だもんね。やっぱりね。


有馬:そこに入れなきゃいけないもんね(笑)。紹介を。


栗田:そう、だからもう、極力イントロが無い。で、3分台。もしくは3分以内でみんな一生懸命作ってるって感じね。


西村:あ~。


栗田:やっぱりそのフォーマットにすごい沿ってると思うよ、ちゃんと。


有馬:うんうん。


西村:なるほど。


有馬:もうちょっとね、呼吸が大事だと思う(笑)


栗田:ほんとね。みんながみんなそうせんでいいのになと俺らは思う、ほんとに(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:だからそういう意味でもほんとにこのアルバムをゆっくり聴ける時間っていうのはたぶん、すごい豊かな時間だと思うし。


有馬:うん。ジャケットも良いしね!ほんとに。


栗田:良いよね!


西村:このジャケットは、私の姉が描いてるんです。


有馬:ね!


栗田:これお姉さんなんだね!素晴らしいね!


有馬:そういうのもすごい良いんだよな。発掘しちゃったって感じがあるんだよな。


栗田:じゃあ逆に有馬くんに聞いときたいこととか無いの?西村くん。


西村:インタビューを読ませて頂いたんですけど、最近。


有馬:CINRAのやつかな。


西村:そうですね。すごい衝撃的な内容だったんですけど。


有馬:あはははは(笑)

   あれはね、ほんとにね、一番落ち込んでた時だったからね(笑)


西村:そうなんですね(笑)なんかでも、すごい強烈なニヒリズムを感じて。何ていうか。

   でもそうですね、今回のアルバムも実はそういうテーマがちょっとあって、自分の中に。ニヒリズムというか。


有馬:うんうん。


西村:でもインタビューを読ませて頂いた限りでは、すごいなんていうか、落ち込んでらっしゃったというのもあったかもしれないですけど、すごい消極的なニヒリズムというか。


有馬:そうっすね(笑)


西村:すごい打ちのめされてんなっていう(笑)あと、後ろ向きなイメージがあったんですけど、今日お話を聴く限りではそういう訳でもなかったのかなと、今。

   あのインタビューの中では結構もう「もうお終いだ!」ていう感じ。


有馬:そうっすね、もう終わるからこうして行った方がいいじゃないけど、考えのね、終わるんだったらっていうので、なんだろうな、

   そっちに飲み込まれる人がすごい世の中にはたくさん居ると思ってて、ほんのちょっとだけ共感が欲しいっていうよりはなんかね、見方変えた方が楽なんじゃない?っていう風には思われたいんだよね、インタビューとかは必ず。


西村:なるほど。


有馬:そうそうそう。額面通り捉えちゃうと、割と、あれ?これ結構こいつヤバいんじゃないの?みたいな風に思われてもいいから、救いを持たせるっていうのはあまり考えてないんだけど、ちょっと、読んだ人の想像力に任せたいっていうのはあって。

   そう。だから曲も説明的に書いたりもするんだけど、それが一つの答えではないから、なんか、俺はとにかく聴いてくれた人とか、あと、読んでくれた人とか出会ってくれた人の想像力に任せていきたいっていう。


西村:あ~。


有馬:投げっぱなしではないから、一応自分も言ってるから。そこでそういうのが大きくなってけば、もしかするともっと良い、面白い世の中になってくんじゃないのかなっていうのは昔から思ってるんだけど。

   これでいいのだじゃないんだけど。


西村:あはははは(笑)


有馬:そうそうそうそう。

   そこはすごい、レトロなものがやっぱり好きだからさ、どうしてもその、思想的にはやっぱり赤塚不二夫とかみたいな憧れ続けてるから、だからちょっとエグい表現とか、ギョッとするようなこと言ってるのに実はその裏に愛があったりする人になりたいのかもしれないんだけど。

   ルックスがこれだからね、怖い人だと思われるのね。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


有馬:だからやっと俺ね、ほんとにね、今日会えてほんとに嬉しい!


西村:いやぁ、それはそう言って頂けるとほんとに。


有馬:ほんとに、今すぐ走って福岡行きたい、ほんとに。


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)


西村:お酒飲んだら楽しいだろうな~(笑)


有馬:めちゃくちゃ楽しいと思う!


栗田:楽しいと思うね!


有馬:自分で言うのもなんだけど楽しいと思う(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:あはははは(笑)じゃあいつか実現しよう、福岡でね!


有馬:そうですね!福岡でね!


栗田:もしかしたらそういう風にライブでツアーでまたね、おとぎ話も来れる日が来るかもしれないし。


有馬:そうっすね、行く気は満々なんで。


栗田:そうだね、そういう未来は一応想像しとこう!


有馬:そうそうそう!しときましょう。


栗田:そん時にじゃあ、二次会、打ち上げ終わって、WESTにずっと居る感じでいきましょうか。


西村:あはははは(笑)


有馬:それがね、一番ね、良いんですよ!


栗田:良いと思いますよ、本当に。


有馬:蛍光灯がね、明るすぎるっていうね(笑)


西村:あはははは(笑)


栗田:福岡でまた会える日を楽しみにしておきましょう!


有馬:そうですね!絶対会いましょう!


西村:ぜひ!


栗田:じゃあ、今日は本当に貴重な時間をありがとうございました!


西村:こちらこそ、ありがとうございました!


有馬:ありがとうございました!


*1西村匠本人によるセルフライナーノーツ。SNSで公開されている。

*2お互いの音楽遍歴アンケート

西村匠

・これまでの音楽遍歴を教えてください(リスナーとして)

●幼少期にQueenとABBAのベストアルバムを日頃から聴く。

母曰く適当な英語で歌っていたそう。ヒット丼というコンピアルバムが家にあり、それもよく聴いていました。洋楽が主だったようですが、当時はそれが普通だと思っていたし、洋楽邦楽の区別も付いてなかったと思います。

●少年期から邦楽を聴くようになり、BUMP OF CHICKEN、ELLEGARDENなどから、その他その当時聴ける邦楽のバンドを漁る。

ただはっきり「これが好き」と言えるようなものはなく、誰かのファンになるようなこともなかったです。

●その後UTEROに出入りするようになりバンドマンなどとの交流が広がると、音楽の義務教育的なアーティストや名盤などからアングラなものまで色んな方から教わる。

本当になんでも聴いたので、広く浅くといった感じです。

その後の大きな変化はクラシックを聴くようになったことです。

もともとそうですが、数をたくさん聴くというより、一曲を繰り返し聴いて理解を深めることの方が多いです。


・これまでの音楽遍歴を教えてください(ミュージシャンとして)。

小学生の時の学習発表会で初めてドラムを叩く。曲目はプリーズプリーズミーでした。

中学生になりギターを買う。このころから少しづつDTMを始める。

高校を辞めてからドラムとしてバンド結成。

バンド解散前後にthe perfect meの原型を作る。

同時期にレコーディングやミックスに本格的に興味をもつ。

the perfect me結成後しばらくしてピアノを練習し始める。

現在もピアノ練習中。


有馬和樹

・これまでの音楽遍歴を教えてください(リスナーとして)

父親の影響で幼い頃からレッドツェッペリンや

キングクリムゾン、ピンクフロイドなどをきいて

育ちました。

中学生になると奥田民生やサニーデイサービスを聴きながら

思春期なので当然ブリットポップにハマりました。

その後大学生になり、

先輩などの影響でジャーマンロックやニューウェーヴにハマりました。

今はいろいろ聴いてきたおかげで趣味趣向も落ち着きだして、

主に宇宙的なにおいのするソウルやフリージャズを中心にあさりまくってます。。

支離滅裂ですいません!



・これまでの音楽遍歴を教えてください(ミュージシャンとして)

バンドをはじめてからは

ビートルズ→ペイヴメント→ニールヤング→

スライ&ザファミリーストーン

→フレーミングリップス→ピクシーズ

→カーズ→アーケードファイア→ブラー

→ファンカデリック→サン・ラ

という流れでここまで来た感じですが、

スタジオ練習中は主に

oasisとレッチリとニルヴァーナの話だけで

成立してます。。


<リリース情報>

タイトル:『Thus spoke gentle machine』

アーティスト:the perfect me

レーベル:felicity

品番:PCD-24963  felicity cap-330

発売日:2020.08.05 ON SALE

定価:¥2,400+税


1. fools singing poetry for all love

2. two colors expressway (album ver)

3. french press

4. Thus spoke gentle machine

5. on the veranda

6. Burn

7. Iron lamp

8. sheep come at the same time

9. active lunch (album ver)

10. twin sparrows

11. seven second delay

12. Dance (album ver)

13. It is modern and style of love

14. drive around by the basement car park

15. Invention No.1 G dur


・the perfect me「Thus spoke gentle machine」)を聞いての感想を教えてください。

個人的にはELOのジェフリンのように

西村くんのことを感じています!

メロディーの良さに関しては

モータウンのシングルヒット的な

キャッチーさがあると。

なのにとても現代的、

未来的な耳を持っているので

とてもモダンな感性。

好きにならずにいられない…

最高です!

有馬和樹(おとぎ話)





【the perfect me】

2013年からライブを主体として活動。

無名ながらも米インディーバンドDEERHOOF福岡公演の前座に抜擢されるなど早くしてその才能を地元で轟かせる。なおグループ名は DEERHOOFの曲名から。並行して地元アーティストのレコーディングエンジニアとしてもその手腕を発揮。同郷のSTEPHENSMITH 2016年作品「sexperiment」のレコーディング、ミックスを手掛けるなどエンジニアとしてのキャリアも始動。2018年に福岡で行われた音楽イベントASIAN PICKS内のライブオーディションにてグランプリを獲得。副賞として2019年3月アメリカ・オースティンにて行われたSXSW “JAPAN NITE”への出演を果たした。

2019年はその活動をさらに加速。2月に新曲「two colors expressway」3月に「Dance」そして6月には「active lunch」 と立て続けに配信リリース。Spotifyにて多数のプレイリストに選曲され、国内外を含 む早耳の音楽リスナーを中心にその名を浸透させた。 また2019年はおとぎ話 「REALIZE」、シンガーソングライター戸渡陽太が新たに結成したWHITE LIEのEPを手掛けるなどレコーディング、ミキシングエンジニアとしての活動も広げている。


Official HP http://tpm-music.com/

Instagram https://www.instagram.com/theperfectme_

Twitter https://twitter.com/the_perfect_me



<リリース情報>

タイトル:『REALIZE』

アーティスト:おとぎ話

レーベル:felicity

品番:PCD-24951  felicity cap-328

発売日:2020.07.03 ON SALE

定価:¥2,400+税


01. NEW MOON

02. HELP

03. REALIZE

04. AGE

05. BYE

06. M

07. BREATH

08. GAZE

09. NOTICED IT


[BONUS TRACK]

10. NEW MOON (inst)

11. HELP (inst)

12. REALIZE (inst)

13. AGE (inst)

14. BYE (inst)

15. M (inst)

16. BREATH (inst)

17. GAZE (inst)

18. NOTICED IT (inst)


・おとぎ話「REALIZE」を聞いての感想を教えてください。

データをもらって初めて聴いた時は全体像と着地点が見えず、どのようにミックスしたものかと困惑しました。今の形に「気付く」のにはかなり時間を使ったと思います。

根底に見つけた残り火のような退廃芸術性を消さぬよう、あるいは延焼させぬよう眺めることに努めました。尽きかけている篝火の行く末を見守るような気持ちです。

「救われないこと」というテーマを感じ取りましたが、私には同時に、怒りの裏面としての人間愛もうっすらと見えます。しかし、火は消えかけ、ここはあまりに暗いので、これが見間違いでなければよいのですが。

西村匠(the perfect me)





【おとぎ話】

2000年に大学で出会った有馬と風間により結成。その後、同じ大学で出会った牛尾と前越が加わり現在の編成に。2007年にファーストアルバム『SALE!』以来、8枚のアルバムをリリース。felicity移籍第一弾アルバム『CULTURE

CLUB』(2015年)が話題に。映画『おとぎ話みたい』での山戸結希監督とのコラボレーションは熱烈なフォロワーを生み続けています。同じく山戸監督による映画『溺れるナイフ』提供曲「めぐり逢えたら」を収録した前作は『ISLAY』(2016年)。2018年6月、アルバム『眺め』をリリース。2019年9月、10枚目のアルバム「REALIZE」を配信のみでリリース。ライブバンドとして評価の高さに加えて映画、映像、演劇、お笑い等、各界クリエーターよりのラブソングは止みません。「日本人による不思議でポップなロックンロール」をコンセプトに掲げて精力的に活動中。

有馬和樹(Vo.Gt), 牛尾健太(Gt), 風間洋隆(Ba), 前越啓輔(Dr)


http://otogivanashi.com

栗田 善太郎
栗田 善太郎

栗田 善太郎 ZENTARO KURITA

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1971年福岡市生まれ。大学時代からラジオ制作に携わる。
2015年 cross fm特別番組『HAPPY HOUSE 〜 The Family's Starting Point〜』で民間放送連盟賞 第11回日本放送文化大賞グランプリ受賞
2018年 CROSS FM特別番組『Let the Good Times Roll!!』が平成30年日本民間放送連盟賞 ラジオエンターテインメント番組部門で、最優秀賞を獲得。
現在はCROSS FM URBAN DUSK、CROSS FM MUSIC AMP、NHK TV 六本松サテライトを担当。
BIGMOUTH WEB MAGAZINE編集長
SpotifyのPLAYLIST→ http://urx3.nu/Rl6I