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ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.9

ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.9

「イマジン」と「インスタント・カーマ」とエリック・クラプトンとエリカ問題の関係についての考察


12月というと、ジョンの殺された月。(1980年12月8日)皮肉にも街にクリスマスの雰囲気で、「ハッピー・クリスマス」が流れ始めると、毎年ジョンの殺された日のことを思い出す。

 と言っても、当時7歳の僕にはっきりした記憶はなく、ニューヨークからの、騒然としたニュース映像で、あのアパートらしき建物の壁にパトカーの緊急灯が映っているのを見たような気がするだけだ。ふと考えると、来年で、ジョンが死んでから40年、ジョンの生涯自体が40年だから、もう死んでからの方が長くなってしまうことになる。あまり変わり映えしない世界を天国のジョンはどう見ているのだろう。

 なんてちょっとセンチメンタルなことを考えてしまうのもクリスマスだからだろうか。あ、でも、「イマジン」では、天国も地獄もない、って歌ってたのか。

 一方、生前のジョンとも親しかったはずのエリック・クラプトン。言わずと知れた名曲に「ティアーズイン・ヘヴン」があります。幼くして事故死した息子に、「天国で君に会えたら」と歌い上げる、つらい曲。

 でも、この歌詞って、よく読んでみると、全部「仮定法」(懐かしの受験用英文法!)で書いてあるんですよね。「(私は実際は鳥ではないけれど)もしも私が鳥ならば」みたいなやつ。ということは、クラプトンとしては、「天国で息子に会えることはない」という前提ではあるんだけど、という意味を込めていることになるはず。でも、それって、どういうニュアンス何だろうかと、考えてしまう。ヒット曲のわりに、歌詞の意味まで踏み込んで考察したもの読んだことないし。

 僕の解釈としては、以下の二つである。

A;イマジン説;イマジンの考え方からして、天国なんてものは存在しなくて、これはあくまでも、歌というフィクションの世界で言ってるだけのことで、実際天国で会えるなんてことはあり得ないんだけど、というニュアンス。

B;インスタントカーマ説;クラプトンはも薬物問題をはじめ、様々な業を背負っていて、到底天国に行けるなんていうことはあり得ない、よって天国で会えるということもないのだけれど、と言うニュアンス。カーマとは、カルマとも言い、「業」くらいの意味。

 正直、どっちでもいいや、そのほかでもいいし、と言うところですね。

 個人的には、B説を採用したい。というか、「イマジン」と言う曲があまりにも偉大過ぎて、「インスタント・カーマ」くらい地味な曲に惹かれるというだけのことかもしれないけれど。

 薬物問題の業と言えば、相も変わらず、ひどいことになっている、芸能界だけれど、こういう不祥事起こしたら、その人の作品まで店頭から撤収して抹殺を図ろうなんて悪しきムーブメント(私的制裁と言うべきか)は、一体、いつ発生したのだろうか。そして、それによって得をしているのは誰なんだろうかと思うわけです。海外のこととはいえ、ジョンは何度か捕まっているはずで、相棒のポールなんか来日公演の際に捕まったということを考えたら、ビートルズのことを音楽や英語の教科書に載せるのは避けるべきってことになるはずだし、教科書検定で、意見は要らないのか不思議に思ったりもするわけです。

だいたい、ジョンが音楽上の功績で勲章もらうことになった時も、その素行の悪さが問題になったわけではなくて、「コールド・ターキー」という薬物の禁断症状をテーマにしたとんでもない駄作をリリースして、売れなかったという失敗で取り消されたというエピソードがあったはず。「コールド・ターキー」もそういういわくつきの曲でありながら、ベスト盤には欠かせない1曲になっているのでまた不思議なものです。





法坂一広作品

法坂 一広
法坂 一広

法坂 一広 IKKOU HOUSAKA

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法坂一広
1973年福岡市出身
2000年弁護士登録(登録名は「保坂晃一」)
2011年「このミステリーがすごい!」大賞受賞2012年作家デビュー
著書に弁護士探偵物語シリーズ・ダーティ・ワーク 弁護士監察室
ブログhttps://ameblo.jp/bengoshi-kh