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ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.11

ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.11

 いよいよ2020年です。

 ジャズだと「9の年に名盤」というジンクスがあったのですが、59年「カインド・オブ・ブルー」69年「びっちぇず・ブリュー」あたりだから、マイルス存命の時代限定だったのかな。とはいえ、マイルスが亡くなったのが91年なので、そろそろジャズ・シーンにも新しいカリスマが誕生してほしい頃です。

「0の年だとロックの方かな。ビートルズが解散した時期については諸説あり、のようだけれど、個人的には、ジョンがグダグダになっている状況で、ポールが辞めると言った時点、ということで、ポール脱退宣言時説を支持するものとします。とすると、今年は解散50年。

こういうややこしい話を始めた時点で、マニア確定なのですが、バックグラウンドの深く分からない相手と話していて、いつも困るのが、「ビートルズで一番好きな曲は?」という話題です。「ヘルプ」「イエスタデイ」「レットイットビー」「ヘイジュード」など、だれでも知っているような曲を挙げて、「コイツ、本当に聴いてるのか」と思われるのも癪だし、「トゥモロウネヴァーノウズ」「アデイインザライフ」などのディープな曲で軽めのファンに嫌な顔をされるのも問題があると思うわけです。

そこで、どんな相手であろうと、会話をうまく続けることができる、ちょうどいい答えがあります。「ドント・レット・ミー・ダウン」なら、間違いない。

 

 メンバーの名前をやっと知ってるという程度の相手だったら、「ドント・レット・ミー・ダウン」という曲は聴いたことがあっても、聞き覚えまではないはずです。それでも、興味がありそうだったら、ビートルズ解散の原因となったアルバム「レット・イットビー」を生んだいわゆる「ゲット・バック」セッションからのシングルB面曲で、オリジナルアルバムには収録されていない、隠れ名曲云々と解説すればいいし、相手がそれなりのマニアで、「ドント・レット・ミー・ダウン」のどこがいいの?という方向に会話が進んでしまったら、「おの時期のジョンは薬物でグダグダだったはずなのに、奇跡的に声はすごい」などとテキトーなことを言いつつ、「何より、ビリー・プレストンのキーボードです」と「5人目のビートルズの方に話題を変えるのです。

 

 さて、ビリー・プレストンですが、サイケ時代のビートルズには感じられなかったブラック・ミュージックとしてのロックの雰囲気をうまく、注入しています。その後、ローリング・ストーンズのツアーにサポートメンバーとして参加したこともあるようで、そのツアーの際に前座で行ったライブが「ヨーロピアン・ツアー」というアルバムになっています。

 

 そうやって、ストーンズ方向に話題を展開してもいいし、深入りパターンに行くのか、コロコロストーンズのように話題を転がしていくのか、ともかく、この手の話題に関しては対応を決めておくというのが大事ですね。

一方のストーンズですが、結成はビートルズとほぼ同時期なのに、こちらはまだミックとキースが健在で、多少のメンバーチェンジを繰り返しつつも活動中。ビートルズの解散50年という時間を考えたら、これはすごいことだと思います。





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法坂 一広
法坂 一広

法坂 一広 IKKOU HOUSAKA

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法坂一広
1973年福岡市出身
2000年弁護士登録(登録名は「保坂晃一」)
2011年「このミステリーがすごい!」大賞受賞2012年作家デビュー
著書に弁護士探偵物語シリーズ・ダーティ・ワーク 弁護士監察室
ブログhttps://ameblo.jp/bengoshi-kh