Bigmouth WEB MAGAZINE

文化CULTURE

74歳の母が、今日もマンガを読んでいる。第1回:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴

74歳の母が、今日もマンガを読んでいる。第1回:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴

◎赤い血飛沫とふりしきる雪の対比がゾクゾクと怖い。


このご時世、酒場で美女に酔うわけにも、お先にロケハンするわけにもいかない。

ましてや、サウナで先にととのうなんてもってのほか。

なんかないかね、宮元くん?

ということで、ナカムライダー氏からお鉢が回ってきました。

はじめまして、宮元健一郎と申します。

普段は広告の企画などをやっております。


故郷の鹿児島に74歳になる母がいるのですが、

昔から暇さえあれば、いつも好きな小説やマンガを読んでいました。

本棚には彼女の本ばかり、古今東西の名作小説や歴史小説がぎっしりと。ちなみに父の蔵書は、エモやんの『プロ野球を10倍楽しく見る方法』とノムさんの『野球式子育て 金の成る木に育てる方法』の2冊でした(笑)


そんな母は、いまだ現役のマンガ読み。

あたらしいマンガを読んでは、僕にレビューを送ってくる。

74歳で現在進行系のマンガをこんだけ読んでるのは

なかなかレアだろうし、もしかしたら、これからの高齢化社会を

楽しんで生きるヒントになるかもしれないこともないかな?

ということで、74歳が読んだマンガを彼女の感想とともに

紹介していきたいと思います。


第1回目は、吾峠呼世晴の『鬼滅の刃』


もはやマンガの枠を超え、社会現象を巻き起こしているこの作品。

さて、74歳はどう感じたのでしょうか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私、小学校2年の時、友達の姉ちゃんが

貸してくれた少女クラブに連載されていた

『フイチンさん』や『リボンの騎士』に魅せられて以来、

多感な青春期も子育てや仕事に必死な日々も、

黄昏が近い今も漫画への忠誠心をなくしたことはない。

職場で嫌なことがあった時も夫婦喧嘩をした時も

漫画に逃げて元気を貰った!

全く別な世界に連れていってくれるもんね。


さて。

あらためて『鬼滅の刃』、最初からもう一度読んでみた。

夜、1人で読むとと深々と降る雪の寒さと喰い殺された

人々の無残な死が恐怖となって迫ってくる。

赤い血飛沫とふりしきる雪の対比。

コロナの先の見えない恐怖と相まってゾクゾクと怖い。

愛する家族をあんな風に殺されたら、人は生きていけない。

炭次郎の必死な声が切ない。禰豆子(ねずこ)を救わなければ、炭次郎も又人間として生きてはいけないのだ。


でも炭次郎のねずこちゃんを思うひたむきさと、鬼にまで向ける優しさが救い。

いつも底辺に流れるさりげない人々の温かさがいい。


日本のアニメや小説の良さは奥ゆかしさだといつも思う

私、若い頃は西洋物に憧れて、「戦争と平和」や「風と共に去りぬ」などばっかり見ていた。

74歳になった今、しみじみと日本の映画や漫画、小説がしみてくる。

年を重ねることは悪いことではない。

今まで見えなかったことが見えてくる。


「炭次郎、今日は泊まって行け」と言った爺さん。なぜ鬼のこと、言ったんだろう?

74歳の目は、爺さんを怪しいと見てるぞー

鬼滅の刃、これからまだまだ長い戦いの日々が続くだろうが楽しみ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


母からの感想は以上です。

なんか、唐突に終わりましたが。。。(笑)


なんでも、単行本の方は一通り読んで、いまはNetflixのアニメを楽しんでるらしいです。なので、内容が割と前半に集中してるのかも。

なにぶん、普通の74歳のシロウトですので、

そのへんは温かい目で読んでいただければ。


で、僕も読んでみました、ついに話題の鬼滅を。


いやあ~、参りました。

最初が残酷すぎて辛かったけど、

回を重ねる毎にどんどん面白くなりますね。

内容はいまさら語るまでもありませんが、

単なる勧善懲悪ではなく、鬼にさえそれぞれストーリーがあり、

いちいちグッときます。登場人物たちが本当に魅力的。

こんな話、どうやったら思いつくんでしょうか。

いまや、在宅ワークでダラダラした気分を断ち切るために

「全集中・水の呼吸 壱ノ型!」

と叫んでパソコン開くくらいにはハマりました。

流行り物をつい敬遠しがちな傾向があるんですが、

食わず嫌いダメ。ゼッタイ。


さて、そんな感じで、母から送られてきたレビューの

ストックがまだまだありますので、

よろしければ、このちょっと風変わりな、

高齢マンガレビューにお付き合いください。


『鬼滅の刃』 

母  ★★★☆☆ 3.8
息子 ★★★☆☆ 3.5




第2回『高台家の人々』

宮元 健一郎
宮元 健一郎

宮元 健一郎 KENICHIRO MIYAMOTO

instagram

1973年鹿児島生まれ。福岡市在住。
(株)利助オフィス 所属
広告プランナー・クリエイティブディレクター
やっぱりポップカルチャーと「あの頃」が好きなオリーブおやじにして、青春ゾンビ。