文化CULTURE
世界放浪 ~シヴァ神と仙人サドゥ~ Vol.6
ブッダが悟りを開いた聖地
朝4:55、闇の中ガヤー駅に到着。コルカタからの深夜特急は思いのほかよく眠れた。タクシーと料金を交渉してブッダ・ガヤーに向かう。
マハーボディー寺院。ブッダが菩提樹の下での瞑想の果てに悟りを開いた仏教徒の聖地。菊と蓮でできた花輪を買って中に入る。
正方形のすり鉢状になった中心に、幾何学的な彫刻を施した岩の塔がそびえ立っている。
岩で出来たモニュメントと、サーモンピンク色の背の低い建物が周りを囲んでいる。
塔の西側には今でも菩提樹がある。
塔の中にある黄金像にお供え物をする人たちが並ぶ。上の方にある瞑想中の半眼の像なので、優しく見つめられているような気になる。
すり鉢状の上の方にはひと抱えもある金のマニ車がずらっと並んで回り続け、バターランプが何千と燃え盛る暑いハウスの中でおばあさんが火の管理をしている。
ブッダが沐浴をした湖の上には、経文がびっしり書かれた緑白黄赤青の旗が何千とはためいている。
靄の中を朝日が昇り始め、ゆっくり彩度が上がっていく。
塔を小豆色、橙色、辛子色、黄色、白などの袈裟を着た僧侶や巡礼者たちが思い思いに囲み、各々の経文を唱えている。
各グループの代表者は拡声マイクを使ってリードしている。頭を剃りオレンジ色の袈裟を着た子どもたちの声は一際響く。
それらが合わさってひとつの大きな音楽のようになる。
広々と開けた芝生に腰を降ろして足を組む。
早朝の透き通った空気の中、ところどころに花が咲き乱れ、緩やかな風が頬を撫でる。
経文の音楽が空に吸い込まれて行く。
人間の苦悩と解脱を求め続けたスィッダールタは、山の苦行では悟りを得られなかったという。
私と同じ年のとき、この場所で瞑想した彼は、とうとうはっきりと澄み切った悟りを開き、ブッダと呼ばれるようになった。
人間はどのように生きれば良いのかと彼が真理を得たのは、こんなに穏やかな場所でのことだったのだ。
自由業。CROSS FM元代表取締役社長、経営破綻寸前だった同社を再建。
2019年2~3月、仙人サドゥに会いたくてインドへ。昔は「東大生が教える!超暗記術」(ダイヤモンド社)を出版し、印税を使って52ヶ国世界一周ダンナ探しの旅をしていました(http://www.tokuwakako.com/)。
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