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ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.12

ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.12

森保まどか「私の中の私」


特にジャンルもテーマも絞りのない「なんでもあり」のコラムなのですが、自由は不自由だと言うように、逆に何らかのテーマを持っていないと、書きにくかったりするわけです。そこで一つは、ジャンルを広く、硬軟織り交ぜてクラシックからアイドルまで、(アニソンまで飛躍したこともあったけれど)なんて考えを密かに実践しております。もう一つは、ディスクレビューみたいなことはできるだけ避けて、あくまでも読み物として書くということもやってきました。

ところが、ちょっと、予期せぬ事態が起きたのです。アイドルがクラシック演奏しちゃった場合はどういう扱いにするのか。この点は、おそらくマーケティングの問題で、ジャンルはクラシックにされていても、総合プロデューサーは松任谷正隆さんだし、各曲ごとに趣向を変えたプロデューサーが付いていて、これがピアニストに限らないというのがまた面白いのです。そして、音を聞いてみれば、完全なインスト・ポップか、イージー・リスニングだと思う。

 で、ディスクレビューの禁ですが、こういう珍しい状況で、しかもそれが僕のイチ推しの森保まどかちゃん(HKT48)だということになると、ココで取り上げないわけにはいかないではないですか。ということで、割と簡単に禁を破る。

 

 クラシックを題材にした曲も、ポップなアレンジだったり、極端なのはダブ・ミックスなんてことになっていて、非常に面白くまとまっている。インスト物に慣れていない人でも聞き飽きない作りになっている。

肝心のピアノ演奏の方も、僕のような七面倒くさいジャズファンが聞いても、ピアノの音が、バック・トラックに負けていない。こういうの、評論家っぽく言うと、タッチが強いっていうんだろうけど、アイドルのピアノに対して誉め言葉になるのかどうか、ちょっと逡巡するところです。ジャズだったら間違いなく褒めてます。

アイドルのソロデビューにもいろんな形があったことでしょうが、ピアノ演奏に特化したアルバムでのデビューって、聞いたことがないかも。

いつも聞いてるラジオでは今後弾き語りにもチャレンジしたいと言ってました。このアルバムには入ってないけれど、テレビで「学園天国」を弾いてるのを聞いた感じではリズム感もよさそうだったし、アイドルだから、歌もいけるはず。となると、せっかくだから、ジャズやってくれないかなぁと心底思うのです。ジャズの世界では、ブロッサム・ディアリーあたりから脈々と続く、美形ピアノ弾き語りというジャンルがあるのです。そう言ってるの、僕だけかもしれないけれど。

最近でもダイアナ・クラールあたりはかなりメジャーな存在です。次はピアノ弾き語りアルバムにチャレンジして、ジャンルをジャズにしてみる、なんていうのも面白いんじゃないかと思うのです。ここでも少し触れたことのあるノラ・ジョーンズだと、弾き語りの相棒がピアノなのか、ギターなのかはっきりしないのですが、女性ボーカルにはピアノの方が個人的には好みです。(意味不明)

 こういうことあちこちで書いてると、いい歳をしてアイドルに熱を上げたか、アイツはと思われる向きもあるようですが、ダイアナ・クラールのファンです!と言うのと特に温度差はないつもりなのです。

結局、ディスク・レビューにはなってないな。禁を破らなかったのが良かったのかどうだか分かりませんが、読み物としては成立していることを祈っておきます。






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法坂 一広
法坂 一広

法坂 一広 IKKOU HOUSAKA

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法坂一広
1973年福岡市出身
2000年弁護士登録(登録名は「保坂晃一」)
2011年「このミステリーがすごい!」大賞受賞2012年作家デビュー
著書に弁護士探偵物語シリーズ・ダーティ・ワーク 弁護士監察室
ブログhttps://ameblo.jp/bengoshi-kh