Bigmouth WEB MAGAZINE

酒場SAKABA

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.13〜元旦に思う

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.13〜元旦に思う

朝が好きだ。


 トシを重ねるたびに好きになっていく。そして元旦は特別。なんてったって、一年の始まりだしね。


 暗いうちから起き出して、屋上へ行く。薄くピンク色に染まった空に、水墨画のような富士山が浮かんでいて、上空には月が輝いてる。ドローインして、新春の空気を肺に深く送りこんでみる。


 そうだ、ここで原稿書いてみるか。完璧な一年の始まりかもな。


 6時53分。もう太陽は昇っているはず。その光が富士山を赤く染めていく。うちにももうすぐ昇ってくるだろう。


 去年はかなりとんでもない年だった。目に見えない敵に、世界じゅうが振り回された。でも、そもそも。それは自然発生したものなのか、それとも人為的に作られたものなのか。振り回される前に、そこを見つめなきゃ、いつかまた同じことが繰り返されるだろう。正しく怖がれ、ホトトギス。人類はかようにアホだ。オレも含めて。


 でも、個人的に言わせてもらうなら、コロナよりヒドい経験をいくつかしてたおかげで、気が滅入ることはなかった。この時代アーティストでいることなんて「死して尸、拾う者なし」。そのくらいの覚悟がなきゃやってられない。


 あのウイルスはなにを大切にして生きるかって優先順位を明確に示してくれた。それはデカかった。だから、そのように生きてみた。あんまり偉そうなことは言いたくないけど、それは第一義的にいって、金ではなかったことだけは伝えておきたい。


 ジョン・レノンが撃たれて40年。もし彼が生きてたなら80歳。どうして彼の歌は響き続けるのか。考えてみればすぐにわかる。そこには愛と屈折しかないからだ。


 だったら、そんな風に生きてみればいいと思う。あんたもオレも。生まれたことは奇跡なんだよ。一度しかない人生。思いきり生きてみればいいだけのこと。


 さぁ、丘の向こうから朝陽が昇ってくる。思いきり一年を始めてみるよ。


博多今昔のブルース Vol.12〜在日九州人として

山口洋
山口洋

山口洋 HIROSHI YAMAGUCHI

facebook instagram twitter

ヴォーカリスト、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、そしてランナーにして、スノーボーダー。

1979年、福岡にてヒートウェイヴを結成。1990年、上京しメジャーデビュー。現メンバーは山口洋(vo.g)、池畑潤二(ds)、細海魚(key)。山口洋がソロツアーの旅で新たな曲をつくってバンドに持ち帰るというスタイルで、ほぼ全曲の作詞と作曲を担当する。1995年の阪神・淡路大震災後、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)と「満月の夕」を共作。2011年の東日本大震災直後からは「MY LIFE IS MY MESSAGE」プロジェクトのさまざまな活動により、福島県の相馬をピンポイントで応援し続けている。仲井戸麗市、佐野元春、遠藤ミチロウ、矢井田瞳ら国内のミュージシャン、ドーナル・ラニー、キーラらアイルランドを代表するミュージシャンとの共演も多い。
http://no-regrets.jp