ラーメン記者の謹製 快麺伝 Vol.2
また福岡以外の話で申し訳ないが、今回は麺の話なので…。
羽田空港から京急線で3つ目に「穴守稲荷」という駅がある。物流関係の施設が建ち並ぶ羽田近辺から一変、駅を出ると下町風情が残る。なんとなくホっとする街並みだ。
出張や観光ではよほどのことがないと立ち寄らない駅になぜ行ったかというと、「中華そば さとう」があるからだ。
スーツケースを転がして店に入ると完全な場違いな感じ。満員に埋まったカウンター席は地元客とおぼしき人たちばかり(いつもそうではないとは思うが)。その日は喪服のおばあちゃんたちもいた。
ここは先払い。中華そば中盛りに玉子トッピングを注文して、700円を手渡す。待つこと数分、どんぶりが目の前に運ばれてきた。
見てください、この黄金色のスープ。鶏がら、煮干しベースだろうけど、どちらもとんがっているわけでなく、じんわりと沁みる。細目の縮れ麺もよくあう。昔ながらの中華そばだけど、どこか洗練されている珠玉の一杯だ。
中華そばのほかにカレーもある。というか中華そばとカレーしかない。「いつかカレーを」と思いつつ、今回も「お預け」して店を後にした。
駅まで戻る道すがら、空港周辺ってあまり行かないなぁと思う。東京は公共交通機関が充実しているのでまだましだけれど、地方で空港近くの店に行くことってほとんどない。
で、福岡はどうだろうと考えると「らぁめん シフク」が思い浮かんだ。場所は、地下鉄福岡空港駅からみると滑走路を挟んで逆側で、倉庫などが密集するエリアにある。
豚骨ではなく、鶏がらがメインの店。塩ラーメンは、すっきり滋味な都会的な一杯で自家製麺も含めておいしい。行った時はいつも満席でにぎわっているが、こちらも地元客が中心だろうと推測する。県外の人が空港から歩く、地下鉄、バスを乗り継ぐなんて考えられないから。
福岡のほかに九州の空港で使うのは宮崎空港くらいだけど、そういえばあった!
空港からてくてく歩いて十数分くらいだろうか。民家や畑、店が点在する一角に、これまた民家のような「のり吉」がある。
こちらはさらに地元臭強め。おばちゃんたちが厨房、ホールを回し、食堂メニューも充実している。ラーメンもいい。あっさり豚骨に中太麺、もやし載せという、いかにも南九州の味わい。丁寧に作られたチューシューがまた美味なのだ。
最近の空港ってさまざまなテナントが入っておもしろい。けれどもボクは「空港そばグルメ」を推奨したい。灯台もと暗しならぬ、管制塔もと暗し(うまくない)。その不便なアクセスゆえか隠れた名店があるはずだ。当たり外れは多いと思うけれど…。