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土曜日の夜に 第13回 Text by Masami Takashima

土曜日の夜に 第13回 Text by Masami Takashima

猛暑かと思えば長い雨が続いた8月。外出をできるだけ控えていることもあり、ほとんど人に会わないままだったが、そうこうしていたら秋が見え始めた。長く重く感じた夏。知らなかったことはひとつひとつこれからも学び続けたいと思う



先日私の住む街でも上映された映画「アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン」を鑑賞。アレサの映画ということしか予備知識を持たずに見た映画だったので、エンドロールにスパイク・リーの名が出現してびっくり。登場する人々はとてもファッショナブルで、アレサは白やグリーンのドレスを纏い歌う姿はとても美しかった。私にとっての思いがけないサプライズは、10代の頃すすめられて初めて買ったゴスペルシンガー、クララ・ウォードがスクリーンに登場したことだ。思わず「わぁ」と声を発してしまいそうになりぐっと堪えた。当時の時代背景を想像することは簡単なことではないけれど、だからこそアレサの祈りのような歌に深く沁み入った。

個人的には「アメイジング・グレイス」の前年にリリースされたライブアルバム「アレサ・ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト」は擦り切れるほど聴いた作品だ。秋から上映が予定されている「リスペクト」も楽しみにしている。






音楽映画といえば、とても好きな映画のひとつ「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」は外せない。上映当時、20歳そこそこだった私は、キューバのベテランミュージシャンたちのユーモアと人生の重みを演奏からひしひしと感じ、ちょっとしたカルチャーショックを受けた。焦燥のようなものに掻き立てられていた未熟な私は恥ずかしくなったことを覚えている。サントラは迷わず買って、今でも聴き続けるアルバムのひとつである。ピアニストのルベーン・ゴンザレスの優しく儚いピアノが好きだ。あんな風にピアノが弾けたら...



Masami Takashima
Masami Takashima

Masami Takashima Takashima Masami

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1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com