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土曜日の夜に 第23回 Jay Som「Anak Ko」Text by Masami Takashima

土曜日の夜に 第23回 Jay Som「Anak Ko」Text by Masami Takashima

梅雨だったの?というほどにあっという間に過ぎた。私の住む町は元来雨が少なく晴れている日が多めの地域ではある。けれど、これだけ梅雨らしくないのは珍しい。これから徐々に気候そのものが変化していくんだろうなということを実感する。本格的な夏が突然始まったことで気持ちも身体もなんとなく追いつけないままだけど、梅雨前に訪れた車で1時間ほどの場所にある砂浜が心地よかった。暑さもまだ窓を開けるくらいでちょうど良かったあの日は夏を先取りだったなぁなどと思い返す。




砂浜を少し歩く。散歩やランニングをしている方が数人だけののんびりしたビーチは賑やかさから離れすごく静かだった。滞在時間は少しだったけれどなんだか満たされた。暮れていく太陽が紐づけられて、Jay Som「Anak Ko」のジャケットを思い出した。












2019年にリリースされたこのアルバムがとても好きで、USインディーで選ぶときには必ず手にする中の1枚。シューゲイズとかベッドルーム、ドリームポップなど様々な要素を投げかけてくるギターサウンドも特徴的でかっこいい。Jay Somは今作でも多くの楽器の演奏と、録音、ミックスまで自ら行っているとのこと。ほとんどを一人で制作することにより作品全体を見渡しながら音楽を深めていく意図を感じ取った。実験と探究。そういった部分もこのアルバムを興味深く感じることの一つなんだろうと思う。



USインディー、ベッドルームミュージックといえば、6月にリリースされたLegwurkのアルバムやClaudのシングルも良かった!ジャンルに限らず近年は全体的にどんどん曲が短くなっている傾向にあるけれど、メロディーもアレンジも熟考されたトラックばかりだ。


2020年にリリースされたShelly(ClaudやClairoも参加している)の曲も最後に紹介しておきたいと思う。









Masami Takashima
Masami Takashima

Masami Takashima Takashima Masami

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1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com