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転がる石のように名盤100枚斬り 序章
ここに一つのリストがある。
500 Greatest Albums Of All Time
史上最も偉大なアルバム500」。アメリカが誇るロック雑誌『ローリング・ストーン』による、いわゆる名盤のリストだ。今まで何回か更新されているが、2012年に発表されたものが最新版のようだ。『ローリング・ストーン』セレクトだけあって、ロックが中心だが、カントリーやR&B、ジャズも含まれている。
サブスクリプションで音楽を聴く時代には、名「盤」という言葉がなんともレトロに響くが、レコードにCDと「円盤」を通して音楽に触れてきた身としては、この言葉がしっくり来る。
38年前、ビートルズでロックに目覚めた少年が、筑豊の小さな町の書店で手に取ったのは、『青春音楽グラフィティ スーパースターのライフストーリーと名盤ガイド』 (集英社文庫―コバルトシリーズ)。内容はタイトルの通り。傑作と謳われるアルバムのジャケットを眺めながら、解説を頼りに「どんなサウンドなんだろう」と想像し、胸をときめかせていたわけだ。
「大人になったら、ロックの名盤を片っ端から聴いてやるのだ」・・・・・・と中学生の僕は思っていた。
大人になった。
名盤は聴かなかった。
もちろん何枚かは聴いた。ビートルズは全アルバム買った。ラジオでたまたま耳にした往年の曲が気になって、その曲が入っているレコードを買うこともあった。しかし、そういうケースは稀で、同時代の音楽を追いかけるのに忙しかったし、そのほうが楽しかった。限られたレコード(またはCD)購入予算を「名盤」に回す余裕はなかった。
時代は移り変わりSpotifyやAppleMusicなど、音楽のサブスクリプション・サービスが日本にも定着した。月々わずかな支払いで、歴史的な名盤の数々を好きなだけ聴くことができる。中学生の頃には想像もできなかった素晴らしい世界。
例に漏れず、僕もAppleMusicに加入した。
名盤は聴かなかった。
若い頃以上に、日々アップデイトされる音楽トレンドを追いかけることに夢中になった。WEBで『ピッチフォーク』『NME』『ローリング・ストーン』などのディスク・レビューや、『AOTY』(各音楽メディアのディスク・レビューと、一般リスナーによる評価を数値化し掲載するWEBメディア)の点数をチェックし、新譜を漁る毎日。加えて、それまではロック中心のリスニング・ライフだったが、ヒップホップにワールド・ミュージック、日本のポップスに韓流と、様々なジャンルの音楽にアプローチするようになった。過去の音源を振り返っている暇はない。
しかし、自分ももうすぐ50歳。このままでいいのだろうか。
まぁ、悪くはない。新しい音楽を追いかけるの楽しいし。
しかし、名盤のリストの中には、自分の知らない素晴らしい音楽が間違いなく存在するはず。一度も聴かぬまま人生を終えるのも惜しい。AppleMusicで聴けばタダだしね。
そこで一念発起し、『ローリング・ストーン』セレクトの名盤を1枚ずつ聴いて、レビューしてみようと思う。「500」はさすがに気が遠くなるので、上位100枚に絞り、カウントダウン形式で聴いていく。僕は、音楽活動の経験はなく、音楽評論家でもない。昭和生まれのライトな音楽ファンのおっちゃんである。平成から令和に移り変わる2019年の今、そんなおっちゃんの心に、その歴史的な名盤が、「どんな風に響いたか」ということを書いていきたい。くれぐれも、その作品の歴史的な意義がなんたらとか、ロックを変えた革新的なアイディアがなんたらとか、役に立つ知識は期待しないように。
ちなみに上位10枚はこんな感じ。( )内は発表年。
1 The Beatles "Sgt. Pepper's Lonely Heart Club Band" (1967)
2 Beach Boys "Pet Sound" (1966)
3 The Beatles "Revolver" (1966)
4 Bob Dylan "Highway 61 Revisited" (1965)
5 The Beatles "Rubber Soul" (1965)
6 Marvin Gaye "What's Going' On" (1971)
7 The Rolling Stones "Exile On Main Street" (1972)
8 The Clash "London Calling" (1979)
9 Bob Dylan "Blonde On Blonde" (1966)
10 The Beatles "The Beatles (White Album)" (1968)
ビートルズばっかやん。ビートルズ以外も1枚を除いてすべてCDを持っている(それはどのアルバムでしょう?)。果たしてこの10枚までたどり着けるか。まずは100位からスタート。