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山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.40〜死を見つめて

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.40〜死を見つめて

若い頃、多いに影響を与えてくれた人たちが、洋の東西を問わず、次々と旅立っていく。


 人間の死亡率が100%である以上、ごく自然なことが起きているにすぎないのかもしれないけれど、にしても多すぎて言葉を失う。


 随分前だけれど、瀕死の母親を看病していたときに、たくさんの死を看取ってきた看護師の女性がオレにこう言ったのだ。


 「山口さん、人間は生きたようにしか死ねないんですよ」、と。


 言葉は至言として、こころに突き刺さった。確かに最晩年の母親がそれまで生きたように死んでいったからだ。良くも悪くも。



 ちょっと怖かった。



 どのように死を迎えたいかと深く考えることは、どう生きるかと同義だ。


 車の運転も同じだけれど、今見ることができる一番遠くを見つめたなら、この瞬間に何をしなければならないのかすぐにわかる。


 自分であれば、ネイティヴ・アメリカンのように「今回の人生も素晴らしかった。それではみんな、また会おう!」と言って往生したいところだけれど、残念ながらオレは輪廻転生を信じてはいない。



 自らの死をポジティヴに見つめて、今をたいせつに後悔なく生きること。


 そんな当たり前のことを、繰り返し、先達が自らの人生をもって教えてくれているのだとオレは思う。


 

 あ!こじれてしまった人間関係をどうすればいいのか。それは喫緊の課題。いつだって(苦笑)。

博多今昔のブルース Vol.39〜雪山の効用 


山口洋
山口洋

山口洋 HIROSHI YAMAGUCHI

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ヴォーカリスト、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、そしてランナーにして、スノーボーダー。

1979年、福岡にてヒートウェイヴを結成。1990年、上京しメジャーデビュー。現メンバーは山口洋(vo.g)、池畑潤二(ds)、細海魚(key)。山口洋がソロツアーの旅で新たな曲をつくってバンドに持ち帰るというスタイルで、ほぼ全曲の作詞と作曲を担当する。1995年の阪神・淡路大震災後、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)と「満月の夕」を共作。2011年の東日本大震災直後からは「MY LIFE IS MY MESSAGE」プロジェクトのさまざまな活動により、福島県の相馬をピンポイントで応援し続けている。仲井戸麗市、佐野元春、遠藤ミチロウ、矢井田瞳ら国内のミュージシャン、ドーナル・ラニー、キーラらアイルランドを代表するミュージシャンとの共演も多い。
http://no-regrets.jp