ロケハンしときましたー! Vol.17「市民酒蔵 諸星」横浜・新子安
巷のヴァイブス溢れる酒場を、皆さんに代わってわたくしナカムライダーが勝手にロケハンしてきました!
遠かったり用事なかったりで行く機会ないかもですけど、もしもの場合はぜひ参考にしてください。
見た目だけ整えたようなフニャちん酒場はスルーします。
遠かったり用事なかったりで行く機会ないかもですけど、もしもの場合はぜひ参考にしてください。
見た目だけ整えたようなフニャちん酒場はスルーします。
17軒目 「市民酒蔵 諸星」横浜・新子安
わたくし、実は横浜という街にちょっと傷をかかえておりまして。
というのも高3の頃、横浜にある大学を受験したものの見事に不合格となりまして、その結果福岡の私学に通ったわけですが、もし横浜で学生時代を過ごしていたとしたらもっと違った人生があったのかもなと、思いを馳せずにはいられない訳であります。
ただ、どんな人生を送っていたとしても、横浜をもし経由していたとすればきっとこの酒場には通っていただろうなと思える店。
行ったこともないのに、懐かしさと憧憬と胸騒ぎをビンビンに感じた酒場。
それが、京急新子安駅から徒歩30秒にある「市民酒蔵 諸星」であります。
極上の店構えです。
入店前に深々とお辞儀をしたくなるほどに、溢れるヴァイブスをビンビンに感じます。
おや?
向かって左のビルの2階、揉美安(もみあん)も気になりますね。
溢れる癒しのオーラをビンビンに感じます。
ところで僕が横浜に興味を持ったのは、受験の際にではなく、もっと小さい子どもの頃です。
多分10歳ぐらいの頃、テレビで中村雅俊が「恋人も濡れる街角」って曲を歌ってまして、桑田佳祐作詞作曲のその曲は子どもの僕にとっては結構オトナな世界でして、よく意味もわからずに聞いてたんです。
僕はサザンオールスターズがデビューの頃から好きだったので、7歳離れた兄が「この曲サザンの桑田が作ったらしい」みたいに言ってたのを聞いて興味を持ったんだけど、いかんせん曲調がオトナっぽくて、子どもの僕にはピンと来てなかったんです。
そんな時、普段は仕事であまり家にいない父親がテレビの横に現れまして、画面の中村雅俊を指してこう言ったんです。
「中村雅俊は、オレのいとこよ」
え!!!!!
マジすか????
そういえば、うち中村だし、父ちゃんどことなく目のあたりとか似てるかも!!??
とかすごい驚いてたら、ただの嘘でした。笑
なんやねん!!!
そういう突拍子もない嘘を急に言う父親なんです。
そんなことがあって、結局嘘なんだけどなんだか中村雅俊を身近に感じて、子どもながらに「恋人も濡れる街角」を聞いていたんです。
ご存知の方も多いとは思いますが、その歌詞の中に
YOKOHAMAじゃ今
乱れた恋が揺れる
俺とお前の まんなかで
触るだけで感じちゃう
触るだけで感じちゃう
って部分がありまして、その意味がよくわからない中、妙な色っぽさだけはビンビンに感じ取れるわけです。
当時10歳の男子は、そのYOKOHAMAには一体何があるんだ?ってことが頭に棲みつき、ワケもなく横浜に対する憧れの念が生まれた次第です。
その8年後、受験して麗しの横浜に行こうとしたら落ちて地元のままです。
なんやねん!傷つくわ!
店内の雰囲気もたまりません。
カウンターの先輩方もこの横浜で、乱れた恋が揺れてきたのかと思うと、羨ましくて仕方ないです。
壁一面にかかる短冊メニューにひと通り目を通して、とりあえずは飲み物からってことでここ横浜はハイカラを生んだ街ですので、ハイ辛(カラ)サワーにいたします。
金宮焼酎を辛口のジンジャーエールで割って唐辛子パウダーを入れたサワーのようです。
「すいません、ハイ辛サワーをひとつ」
と、マスクをしててもその美人っぷりがビンビンに伝わって来るお店のお姉さんにオーダーします。
もちろん内心では、乱れた恋が揺れないかな?と期待しています。
うまっ!
ま、辛口ジンジャーエールはモスコミュールとかで口にするので慣れてますし、金宮は普段から飲んでるし、この組み合わせ普通に良い。
そして、唐辛子パウダーはたいして辛く感じない。
たまにジンジャー酎ハイあるけど、なんかやっぱり甘いでしょアレ?
辛口の方がスッキリしてて、金宮を炭酸で割った普通のチューハイに近くて美味しいです。
さて、食べ物もいろいろメニューあって悩むなぁ。
とりあえずは定番メニューから行ってみますか。
酒場といえば、煮込みでしょーが!
うーわ、これ美味い。
これまでいろんな酒場で煮込みを食べてきましたが、こちらの煮込み、たぶんベスト3には入ってくると思います。
具はモツ各種とこんにゃくですかね。
きっと注ぎ足しのタレでずーっとグツグツ煮込んでることでしょう。
コクと深みと柔らかさが格別です。
もちろんポテサラも食べます。
普通に美味しいです。
たまに凝ったポテサラを出す飲み屋がありますけど、あれ正直邪魔くさいですよね。笑
添えてある半身のゆで卵をお好み加減につぶして混ぜて食べろとか、ジャガイモがほぼ潰されてなくてスモークベーコンに巻いて食べろとか、うるせーんだよ。
僕はこういうオーソドックスな、想像の範疇にあるポテサラで飲みたいんです。
勘弁してくれ。
コレなんだと思います。
パッと見た感じじゃ、なんかよくわかんないですよね?
メニュー名は「ぎばさと長いものとろろ」です。
・・・ぎばさ
食べた感じではメカブ感ありますが、ぎばさってのは秋田の郷土食だそうで、栄養価の高い海藻だそうです。
すごいネバネバで、とろろと一緒に食べると喉越しがいいです。
半熟味玉もあります。
とろとろで、だし醤油ツユがかかってて、いい味です。
しかも、なんかコロンとしててかわいいです。
ところで「市民酒蔵 諸星」って店名、ちょっと不思議じゃないですか?
普通は大衆酒場って言いますけど、横浜には古くから特有の「市民酒場」っていう業態があるようなんです。
太平洋戦争時のお酒が配給制だった頃、横浜に700軒ほど点在していた大衆酒場を、行政が数軒ごとに合併させて約200軒の市民酒場として統合したそうで、その名残でまだ「市民酒場」として店名に残ってるのが、この諸星ともう1軒「常盤木」というお店の2軒だけだそう。
諸星は、先代の頃に市民酒場から市民酒蔵に名称を変更して今に至ってるそうです。
ということは、他にも「市民酒場」という名前を変えたか、名乗るのを辞めたかしたお店が、横浜のどこかで営業を続けてるのかもですね。
続いて「とんみの」という、諸星の名物メニュー。
名前からして豚のミノなんですかね?
たぶんですが、ボイルした細切りのミノをニンニクが効いた醤油ダレで和えてあります。
ミノの下に敷いてあるオニオンスライスと一緒に食べてみると、なんと爽やかな味わいなことか。
添えてあるカラシもよく合う。
まさか、ミノをこんなに爽やかに味わえるとは思ってもみませんでした。
酒が進みます。
壁の短冊に、金宮焼酎の割梅ロックってメニューがありましたので、頼んでみます。
この状態で供されました。
焼酎に、好きなだけ割梅エキスを入れて飲め、ということです。
ま、あまり入れると甘すぎますので適量を目指しますが、焼酎が元から結構な量ありますので、なかなかいい感じの加減になりません。
梅割り焼酎は東京の大衆酒場ではポピュラーですけど、確かに甘すぎる場合も多いし、自分で加減できるのはいいですね。
それにしても、なかなかいい感じになりません。
まだかな?と何度も味見をするので、いい感じになってきた頃にはもうグラス半分ぐらい減ってました。
そのせいもあるし、梅味で飲みやすくなってるし、それこそグビグビ飲んじゃいます。
ヤバイです。
魔性の飲み物です。
割梅ロックでテンションが上がってきましたので、うなぎの一口串とうなぎ肝串焼きを頼みます。
ま、写真でお気付きとは思いますが、美味しいです。
大抵の場合、うなぎって美味しいですよね。
土用の丑の日でもなんでもないのに、うなぎを身も肝も堪能しましたので、もちろん精がつきます。
はッ!そうだった!
「YOKOHAMAじゃ今、乱れた恋が揺れる」んだった!
いろいろ食べて、すっかり忘れてた!
うなぎパワーで、恋人も濡れるYOKOHAMAナイトをモノにしなくては!
ということで急にギラギラした眼で先ほどの店員のお姉さんに視線を送り始めると、何やら隣のテーブルのおじさんと親しげに話してます。
するとおもむろに店の入り口から7〜8歳ぐらいの女の子が入ってきて、スルスルっとそのおじさんの元に寄って行きます。
おじさんも嬉しそうに手を振って迎えます。
すると店員のお姉さんも、その女の子と親しげに話し始めます。
おや?
あくまで推測なんですが、店に入ってきた女の子は隣のテーブルのおじさんのお孫さんで、店員さんは女の子の母親なのでは?
ということは、つまり店員さんはおじさんの娘。
つまりこの3人は家族。
そう考えると、なにがYOKOHAMAナイトだ!と。なにが乱れた恋が揺れるだ!と。
急に自分を嫌悪し始めました。
横浜はそんな街じゃないんだよ!と。
そんなことだからオメーは不合格なんだよ!と。
愚かな自分を責めてしまいます。
よし、もう締めだ。
締めの一品を食べて、おとなしく宿に帰ろう。。
なに食べよう。
焼きそばは、そんな僕にもやさしく接してくれました。
おいしいです。
心が洗われます。
YAKISOBAナイトです。
恋人も濡れる焼きそばです。
ありがとう、焼きそば。
心の傷がすこし癒されました。
癒され足りない分は、お隣のビルの2階、揉美安に寄って癒されちゃおう。
市民酒蔵 諸星
最寄駅:京浜急行新子安駅より徒歩30秒・JR新子安駅より徒歩1分
営業時間:17:00~23:00
定休日:土曜・日曜・祝日