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土曜日の夜に 第29回 Text by Masami Takashima

土曜日の夜に 第29回 Text by Masami Takashima

立ち寄った古道具のお店でちょうどいい大きさのデスクを一晩悩んで購入したことを機に、制作部屋の模様替えをしたのは少し前。レコードや本を置くための棚、いくつかの楽器や観葉植物の配置変えなどをして手の届くちょうどいい環境になった。デスク上で音を作り上げていく傍ら、読みかけの本がちょうど真横あたりにどんどん重なっていく。その本の山から1冊選び30分ほど読んで、本を持ち替えまったく違う文章を読む。というような読み方を何十年も変わらずにやっている。学生の頃は純文学をたくさん読んだが、現在は小説は読まなくなった。でも今年はまた小説を読んでみようと思っている。できれば女性の人生を描いたものがいい。女性を描いたものといえば、もしかすると以前もどこかに書き残したかもしれないが、私は気がつけば女性が作った音楽を好んで聴いていることがとても多い。性別で音楽を聴いているわけではないから意図的に選曲しているわけではないが、なぜ選んでしまうのかその理由はまったくわからない。感覚的な判断が及んでいるのではないかと思う。




スマホを使って日記感覚で軽やかと潔さを連ねて生み出された音も好きだし、制作のもがきのような痕跡がある音楽もとても好きだ。どんな音楽にも心地よさの中に小さな違和感があるとずっと脳のどこかに残っている。年末に振り返ると「Beatrice Dillon / Workaround」、「Sam Wilkes / One Theme & Subsequent Improvisation」 この2枚をレコードで繰り返し聴いていた。偶然どちらも歌のない音楽だけれどジェンダーのバランスが同じだったのは個人的に良かったと思う。


2022年も本当にたくさんの音楽が生まれ世界中で音楽が泳いでいた。今月は2022年に気になって注目したレーベルやジャンル、表現方法の作品の中から選んだ20曲のプレイリスト。2023年はもっと女性のミュージシャンが増えて、その音楽に出会えたらいいなと思っている。

今年もよろしくお願いいたします。みなさまにとって良い1年になりますよう。
Masami Takashima
Masami Takashima

Masami Takashima Takashima Masami

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1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com