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CIRCLE’25 現地レポート DAY2
5/17(土)18(日)の2日間、福岡で開催されたCIRCLE’25に行ってきました!主観交えつつ現地の様子をレポートしていきたいと思います。
撮影:ハラエリ·勝村祐紀·chiyori
今回は2日目のレポートです。前日の日焼けのダメージを抱えながら、この日も船で会場へ。
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◾️君島大空トリオ
オープニングアクトは君島大空。昨夜のフィッシュマンズステージ参加の余韻冷めやらぬなか、「光暈」でスタート。午前中の静かな空気の中、透明感のある君島の歌声が響き渡ります。
昨夜も感じたことですが、ギターが体の一部みたいに鳴る人だなあと。本物のミュージシャンにとって、ギターは演奏の道具ではなく、感情を吐き出すための装置となることを実感しました。
合奏形態のライブ映像を色々と見ていましたが、トリオになると楽曲の骨格と体幹の強さがシンプルに伝わってくるのと、君島の歌声とギター超絶テクが際立つので、トリオで見るのもオススメです。
「サークルめっちゃ好きです。バンドで来れて嬉しいです、ありがとう」
もう少し聴いていたいけど、ワンマンのライブでたっぷり堪能してみたい。そんな名残惜しい気持ちで演奏が終わりました。
◾️シャッポ
サウンドチェックの時間から多くの観客が集まり、注目の高さがうかがえたシャッポ。
1940年代の音楽が好きな福原音(G, etc.)によって生まれる、捉えどころのない、古くもあり新しい、懐かしく新鮮なサウンド。同レーベルのYOUR SONG IS GOODやSAKEROCKと同様、インストを主体とするバンドです。
先日1stアルバムをリリースしたばかりということで、完成したばかりの楽曲を披露するとともに、The VenturesやYMOのカバーを披露。細野悠太(B, etc.)が細野晴臣の孫、ということは、このバンドを語る上で最も話題に上がるトピックですが、彼らのペースで今の時代の音楽を紡いでいこうとする姿勢が垣間見えました。
所属レーベル·カクバリズムの代表、角張渉さんが飛び入り参加!原曲で小説家の柚木麻子さんが朗読で参加している「めし」。角張さんが代役で朗読し、会場は大いに盛り上がりました。
◾️やのとあがつま(矢野顕子&上妻宏光)
2020年以来、2回目の登場。日本人の心に刻まれるメロディーを、矢野顕子さんのピアノと上妻宏光さんの三味線、そして新しい解釈のアレンジで鳴らすユニットです。上妻さんのメタリックブルーラメの三味線が、フェンダー社製のギター感があってかっこいいです。矢野さんのほんわかトークとクシャっとした笑顔は、フェスのステージがよく似合います。
矢野さんの楽譜が海風で何度も飛んでいきそうになり、「矢野)もういい加減、楽譜をiPadに変えようかしら」「上妻)毎回言ってるけど絶対買わないですよね」といった和むトークを挟みつつ。
熊本の民謡である「おてもやん」「田原坂」など九州にルーツのある楽曲を披露し、「ふなまち唄 part3」では「ラッセーラー!」のコール&レスポンスで会場が一体となって盛り上がり、ラストは鹿児島の民謡を電子音&三味線でだいたんにアレンジした「OHARA-BUSHI」で締めくくりました。
CIRCLEの会場には、メインの「CIRCLE STAGE」、お隣の「KOAGARI STAGE」の他にもブースがあります。
こちらは「コドモディスコ」という、子供たちが自由に楽しめるキッズエリア。
そして毎年メインステージに負けない盛り上がりを見せるDJブース「KAKU-UCHI Annex」
フードコートも充実していて、全てがギュッとコンパクトにまとまっているので移動の煩わしさがありません。本当に快適な野外音楽フェスです。
◾️mei ehara
前回、2018年に弾き語りで出演したmei ehara。今回はバンド編成での登場です。個人的にリラックスしたい日中によく聴いていたmei ehara。今回も昼下がりの時間帯にゆったり聴くことができて気持ちよかったです。「まだ早い果物」「蓋なしの彼」「ゲームオーバー」など、観客は体を左右に揺らしながら聞き入っていました。
MCでは、雨女であることを気にしていたそうで、なんとか天気が持ってくれたことにホッとしたと語っていたmei ehara。バンドで出演できた喜びを言葉にしつつ、最後まで落ち着いた穏やかなステージを届けてくれました。
◾️EGO-WRAPPIN’
「もうすぐ始まるよ~?」と歌い、サウンドチェックから会場を盛り上げる、Voの中納良恵。CIRCLEの常連であるEGO-WRAPPIN’らしく、開始前の時間も楽しませてくれます。
このテンション感は今日のセットリストの影響もあったのか、「ダンスチューンを取り揃えてきた!」と話す良恵さん。ライブ定番曲を次々と披露し、肌寒くなってきた会場に熱気を注ぎました。終盤は「くちばしにチェリー」「GO ACTION」へと、右肩上がりに盛り上がり、終演後には晴れ間が。
EGO-WRAPPIN’はフジロック、GREENROOMなど様々なフェスで体感してきましたが、今回も安心納得のパフォーマンスでした。あと、EGO-WRAPPIN’は毎回グッズTやタオルがイケてるので、また近々ゲットしたいです!
◾️YOGEE NEW WAVES
「冒頭は、チルなテンポ始まるんだけど、途中からどんどんエンジンがかかってきて、最後は結局盛り上がっちゃう」感じが、ヨギーのライブの好きなところです。
角舘健悟(Vo, G)が髪を振り乱しながら爽やかに野外で歌っている姿に、もうすぐ夏が始まりそうな予感を感じました。体から汗として飛び出た塩分を補給しに、フードエリアで唐揚げ&レモンサワーをゲット。食べるタイミングを逃していた昼食を補給しつつ、次のステージへ向かいます。
◾️ハナレグミ
野外でハナレグミを見るとき、天気が悪かったことが一度もないのですが、この日も、1曲目の「Blue Daisy」が始まると、ステージに空から光が差し込みました。
50歳を迎えた永積タカシさん(50歳に見えない)が、「追憶という言葉の意味が最近わかってきた」という旨のMC。ハナレグミの楽曲は、過ぎ去った記憶、楽しい記憶も悲しい記憶も全て包み込み、穏やかな気持ちで思い出させてくれます。「家族の風景」から「独自のLIFE」まで、バリエーション豊かな多幸感を感じる楽曲を披露しました。
最後、バンドのサポートメンバーが退場し「ギャラが足らなかったので、ここからは弾き語りです」というジョークを挟みつつ。「次やる、くるりの岸田くんに繋げます」と、「光と影」をギター1本で歌いあげると、観客からの温かい拍手が鳴り響きました。
◾️岸田繁(くるり)
サウンドチェックからなだれこむように原曲愛たっぷりのカバー曲「Have You Ever Seen the Rain?」を披露。
岸田繁ソロとしてのライブは初体験ですが、カバーもやるんだなあ、と思っていると「くるりじゃない曲をやるとガッカリする人も多いんです」という岸田さんの言葉に会場からは笑い声が。「リバー」を歌った後は、制作中のくるりの新曲を2曲も聴くことができる貴重なステージとなりました。
その後は「言葉はさんかく こころは四角」「男の子と女の子」「ばらの花」「ブレーメン」という、くるりの往年の人気曲たちをしっかりと披露してくれました。
◾️UA「ウーアナイト♡」
CIRCLE DAY2、いよいよ最後の1組。ラストは、今年デビュー30周年を迎えるUA。1組90分の「ウーアナイト♡」と題したスペシャルステージです。
名曲も力強いアレンジで今の時代の音楽にも負けないパワーで届けてくれました。「リズム」「情熱」「甘い運命」。30周年を精力的に活動するUA。現在アルバム制作中ということで3曲の新曲を、ここ福岡で初披露。
新曲と名曲がシームレスに続いていきます。そこに楽曲の古さ、新しさといった境界線はなく、統一感を持った今のステージを生み出す。ミュージシャンとしての輝きを、昔も今も変わらずに放っているUAの魅力だと感じました。
ふと目を横にやると、ビニールシートの上で楽しく踊る小さな子どもたちの姿が!ノリやすいテンポ 、リズムなのか、母親でもあるUAの声に安心感を覚えるのでしょうか?かつて、NHKでも「ドミノテレビ」という子ども向け音楽番組で歌のお姉さん「ううあ」として出演していました。
「甘い運命」の後に披露した「AUWA」。コーラスの2人とのシンクロした歌とダンスで会場を沸かし、野生味溢れる「TIDA」へと繋げると、観客のテンションは最高潮へ。そして「プライベートサーファー」では会場の観客が一体となって体と揺らします。
UAは、このライブを、このような言葉で締めくくりました。
「30年は、混乱を招くような長い年月。いろんな思いがランダムに記憶が彩っている。根っこのよう細い道を歩いてきた。選んでこなかった道もあるが、歌をやめようとは一度も思わなかった。
いつでもどこでも歌は歌える、音楽をやることは自由だよね。この世界がいつまでもみんなが自由に歌えるようになってほしい。
ありがとう、サークル。サークル=平和を願って、音楽を愛さずにいられないあなたと、また会えますように」
名曲「ミルクティー」をアンコールで歌い、「ウーアナイト♡」は終了。
2日間にわたって開催されたCIRCLEが終わりました。アーティストのラインナップ、5月中旬という開催時期、そして福岡という場所が持つ寛大な空気感が、自由で平和なムードに溢れるCIRCLEを作りあげていました。ミュージシャンと音楽と人が交わり続ける循環が今度も続いてくれることを願います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。来年も会場でお会いしましょう!