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CIRCLE’25 現地レポート DAY1
5/17(土)18(日)の2日間、福岡で開催されたCIRCLE’25に行ってきました!主観交えつつ現地の様子をレポートしていきたいと思います。
撮影:ハラエリ·勝村祐紀·chiyori
初めまして、丸山と申します。この3月までNHKで音楽番組を制作するディレクターでした。福岡には2018~2022年に転勤で暮らしていまして、栗田善太郎さんとは「六本松サテライト」という音楽番組でご一緒していました。CIRCLEは2019年に初参戦。前川清さんとハマケンさんがコラボしたり、永遠の推しである清水ミチコさんが出ていたりと大変貴重な回でした…!
今回は1日目のレポートです。
6年ぶりのCIRCLE。前回はバスで海の中道海浜公園の会場に向かいましたが、今回は船で行ってみようと思い、博多埠頭までチャリチャリ。およそ15分のフェリーでしたが、福岡の街並みを眺めながら船に揺られるのは気持ちよかったです。
会場に到着したのは午前10時すぎ。人はまばらで、穏やかな空気感が魅力のCIRCLEの、ゆるやかにエンジンがかかっていく前の凪の時間帯。前日の雨で芝生、湿っているかなと思っていましたが乾いていて、午前中から快適でした。
◾️Answer to Remember
オープニングアクトは、めちゃくちゃ楽しみにしていた「アンリメ」。ドラマー石若駿率いる腕利き揃いの9+1人編成。九州初上陸!
私、趣味が海外サッカー観戦なので(推しチームはアーセナル)、サッカーのフォーメーション風に解説しますと
DF) Ba Dr Per
MF) key key
FW) ts as tp as
CF) (Vo)
後ろから「3ー2ー4ー1」という、超攻撃的な布陣でした!DFの3人は、センターの石若を中心に、正確でキレのあるビートで全体の基盤を作る。MFのキーボード2人はボランチ。楽曲の味付けと拡がりを担い、攻撃と守りのクッションを請け負う。そしてFWは4人の管楽器チーム。自由にボールを運びながら、時には全体攻撃、時には個人技で相手ゴール(観客)に攻め込んでいく。
全員が技巧派プレーヤー、かつ、統率を取りながら前線の管楽器チームが自由に暴れまくる、超攻撃的サッカーを展開していました!
ここに、ゲストボーカルがストライカーとして加わり、「3ー2ー4ー1」というフォーメーションで、時にメロウに、時に爆アゲに、こちらは攻められっぱなしのパフォーマンスでした。
◾️LAUSBUB
札幌発のユニットで福岡初上陸。今回のサークルは九州初上陸勢が多かったのも新鮮でした。ジャーマンテクノとYMOが好きで、ドイツ語で「いたずらっ子」という意味のユニット名をつけた、2003年生まれの女性2人組、という時点で期待値が高まる。
真昼間からズンズンとデジタルビートを聞かせていて、アンリメとの対比が心地よかったです。あとお揃いのパーカー衣装が可愛い。グッズなら欲しい。
是非 「I SYNC」という楽曲のMVを見てください、2000年代のデジタルCG感満載、だけどそこにとどまらない世界観で、ザラザラしていてかっこいいです。(どうやって撮影、編集しているの?)
https://www.youtube.com/watch?v=WXq2nOmvuHI
◾️STUTS
ご本人の人柄らしく、丁寧なサポートメンバー紹介からスタート。実は1stアルバム『Pushin’』のリリースライブ以来、9年ぶりにステージを見たのですが、ご本人もラップで参戦していてびっくりしました。次にパフォーマンスする楽曲の概要をしっかり伝えて演奏する姿は、MPCやトラックメイカーとしての間口を広げる活動を担う存在にもなりつつあるんだな~と、9年の月日を噛み締めながらステージを見ていました。
この後出てくる、鎮座DOPENESSとのコラボ楽曲「Sticky Steps ft. 鎮座DOPENESS」も披露。
https://www.youtube.com/watch?v=ecuoi5zakhQ&t=40s
同日に関係性のあるアーティストがラインナップされていると、あの曲やるのでは…と期待感が高まるのはフェスならではですね。
STUTSの間に、お昼ご飯のホルモン焼きそばをかき込みつつ、隣のステージへ(徒歩1分なのがCIRCLEの魅力です。
◾️White Shoes & The Couples Company
インドネシア/ジャカルタを代表するインディーポップバンド、今回唯一の海外アーティストです。2002年に結成。全体的にパープルとミントグリーンをベースに構成されていたステージ衣装、可愛かったです。
フレンチポップとガレージロック的な楽曲が、2025年のこのタイミングでは新鮮で、観客も盛り上がっていました。福岡に来たのは初めてというWhite Shoes~のメンバーを、観客の皆さんは温かな雰囲気で迎え入れていました。リードボーカルの女性、Aprilia Apsariさんのコミカル&フレンドリーなダンスがキュートでした。
アジアの玄関口として福岡が盛り上がっていくために、アジア圏のバンドがたくさん来てくれると嬉しいですね。
◾️サニーデイ·サービス
この日一番の日差しが降り注いだ、まさにサニーデイなステージ。この時間帯により、私の顔面は真っ黒に焼け焦げました。
実は曽我部恵一ソロ名義のライブしか見たことがなく、サニーデイのライブをとても楽しみにしていました。
学生時代、ソロのライブには行ったことがあって、他に曽我部恵一さんとビックポルノ(小籔千豊とレイザーラモンによる下ネタラップ中心のユニット)の2マンという幻のオールナイトライブに行ったり。そのライブで曽我部さんが大喜利に挑戦させられている姿を微笑ましく眺めたり。ソロの3枚目のアルバムCDにサインをもらったり。曽我部さんに遭遇しないかな~とワクワクした気持ちで、大阪から東京·下北沢のROSE RECORDSに小旅行したり。思い出がたくさん。
サニーデイの楽曲には、「春の風」のイメージが似合うと思うのですが(楽曲もあるし歌詞にも出てくる)、ライブが始まった瞬間、ふわっと心地いい風が吹き抜けました。この時期に聴きたいバンド、サニーデイ·サービス。
初期の人気曲もたくさん演奏してくれたのですが、それ以上に3人の現役感バリバリのパフォーマンスに圧倒されました。曽我部さんのギターのかき鳴らしっぷりときたら!ずっとギターを見ていたはずのこちらの目線が、気づけば曽我部さんの顔面を凝視していました。顔でギターを弾く、という表現がありますが、まさにそれでした。激しい日差しを顔中に受け、眩しいのか笑っているのか一生懸命なのかわからない、そんな曽我部さんの顔を、一生懸命見ていました。
優しさと激しさが共存する。ベテランとは言いたくない、現役バリバリ、現在進行形のロックバンド。それが、2025年のサニーデイ·サービスでした。
曽我部さんの「最高の夏にしようね!」という一言でライブは終了。曽我部さんにそう言われたら、どんな猛暑、酷暑でも最高にするしかないですよね。(信者の思想)
◾️U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS
もはや日本の野外フェスには欠かせないユニット。野外フェスの隙間と隙間をバッチリ埋め、盛り上げ&チルしてくれるお三方。漫談のようなMCと地続きの心地よいラップ&タブラは5月の穏やかな気候の海の中道がとても似合います。
◾️Original Love
貫禄のステージ。日差しも弱まっていく中、「接吻」ではオーディエンスが左右に手をなびかせ、柔らかな雰囲気に。田島さんのシャウトはこの日も絶好調。コール&レスポンスでは後方の座りシート席からも歓声が上がることの盛り上がりでした。
コロナ禍になる前が最後のご出演で、久しぶりのCIRCLEだったとのこと。「みなさんも元気になったようでうれしいです!みなさんの力で晴れになりましたね」雨雲も吹き飛びそうな田島さんの力強い歌声で、以降雨は降りませんでした。
さらに日差しが弱まり、風が出てきました。もう一つのステージから「石焼~き芋~」という聞いたことのある声が。地元出身のこの方のサウンドチェックでした。
◾️向井秀徳アコースティック&エレクトリック
「和白方面の方はお元気ですか?海中シティ!」曲が終わるごとに福岡の地名で呼びかけがありました(今宿と、他2~3個の地名が出ていました笑)。久しぶりに「博多っ子純情」を見た話、リョーユーパンの「マンハッタン」を食べた話、ダイショーの「味·塩こしょう」が鉄板な話。ディスイズ向井秀徳なりの福岡愛が伝わるMCでした。ナンバガとZAZENの楽曲を織りまぜて進行しつつ。
MCでは福岡のスタッフの方々への敬意を話す向井秀徳。「PAのみなさん、コレサワさん、一生ありがとう、今日はこの歌を歌いにきました。」と言い、披露したのは「Water Front」。海の中道海浜公園、まさに、ウォーターフロントにふさわしい1曲です。
CIRCLEに来る道中、渡ってきた博多湾の景色が浮かび、夢を成し遂げようと福岡を旅立ったり、外から再びこの博多湾へと戻ってきた人々、福岡という街がつなぐ人と人、知らない誰かの関係性を想像しながら、聴き入っていました。
「夏の始まりだから夏の始まりっぽい曲を」と「透明少女」を披露した後、待っていたのが衝撃のラスト曲。「福岡の後輩の歌を歌います」とのことで、これはもしや…と思っていると、始まったのが…
YUI「CHE.R.RY」
噂には聴いていた、向井秀徳の生チェリー!スピッツじゃなくてYUIの「CHE.R.RY」。ついに生でたいけんできました。会場は大盛り上がり。イントロからすごいです、サビはもちろん、ラストまで気が抜けません(笑)。ネットの海に以前歌った動画が転がっているかもしれないので、検索して見てみてください。
◾️フィッシュマンズ
1日目のメインイベントと言わざるを得ない、フィッシュマンズ。福岡公演は、1998年12月22日「男達の別れ」ツアー以来、実に27年ぶりとのこと。つまりボーカルの佐藤伸治さんが亡くなって以降、もちろん福岡でライブをしていないということ。開始時間が近づくにつれて、観客の緊張感が増していくように感じられました。
私とフィッシュマンズとの出会いは大学生の時で、当時バンドを組んでいた同級生がライブアルバム「8月の現状」を貸してくれました。聴いたことのない歌声と、聴いたことがありそうで、やっぱり聴いたことはない未体験のビートにいつの間にかのっかって、暑い夏の夜になるとこのアルバムを家で毎夜毎夜かけていた思い出があります。
2021年公開の「映画:フィッシュマンズ」T·ジョイ博多での初日舞台挨拶にも行きました。メンバーの茂木欣一さんの想いを伺い、再結成に関しても応援する気持ちで昨年、別のフェスでもライブを目撃していました。
ただ、この日は、その時と様子が違っているように感じました。おそらく、この27年間、フィッシュマンズを心待ちにしていた福岡の人たちの静かな熱気が、会場をただならぬ雰囲気に包んでいたのだからだと思います。まもなく、CIRCLEでは初の試みという、1組90分のステージが始まります。
1曲目は「Weather Report」。「東京地方に大雨が降り続けて~」という歌詞から始まりますが、実際にこの日の前日の東京は大雨。偶然かもしれませんが、1997年の楽曲が今とリンクしているような、不思議な気分になりました。
2曲目は「いかれたBaby」。もうやるんだ!と思いつつ、会場には、茂木さんの優しい裏打ちのビートと原田郁子さんの歌声によって、多幸感があふれていきます。
そして驚きだったのがこの後。ゲストボーカルとして紹介されたのが、CIRCLE2日目に登場する君島大空。翌日を楽しみにしていたのですが、まさかの前日召喚に驚きました。神妙な表情でうつむきがちに入ってきた君島。このステージに対する緊張と熱意を感じ取りました。
消え入りそうな君島の歌声から始まった「BABY BLUE」。リバーブが過度にかかって、まるで遠い過去から歌いかけているような、佐藤伸治が憑依して歌っているような気さえしまいた。
そのまま、なだれ込むように「なんてったの」。前から君島大空の楽曲だったのでは、と感じる新しいアレンジと歌い方の解釈が入っていました。どう考えてもフィッシュマンズの曲ですが、まるで新しい曲を聴いているような。君島のギターとの相性も抜群でした。超絶テクだけでなく、曲を理解しにいったうえで新しい表現を明確にのっけにきている姿勢に好感を持ちました。
2025年に入って、フィッシュマンズを守り続けてきた循環から抜け出して、新しいフェーズに入っていくような期待感すら感じました。
長くなってすみません!もう一人のゲストボーカルは、まさかの田島貴男さん!田島さんのフィッシュマンズってレアすぎますよね!?「MELODY」を披露していましたが、こちらも田島節全開でした。
そして「LONG SEASON」。原曲は1曲で35分16秒の超大作。春夏秋冬の季節が移ろうような「円を描くように音がなり続けているイメージ」のこの曲は、まさにCIRCLEという名のフェスで演奏するにふさわしい。
おそらく35分以上、演奏していたかと思います。音の浮遊感がすさまじく、ちょっと体が浮いているよう な感覚。曲の構成がA~Dパートまであるのですが、今どこにいるのかわからないくらい、演奏と空間と時間が溶け合っているイメージ。翌日登場するUAも参加してほしかった。(原曲にコーラスで参加)
途中、茂木さんの、腕がちぎれるんじゃないかと思うほどの激しい長時間のドラムソロで目が覚めます。会場の一体感が最高潮に達したところで演奏は終了。夢なのか夢じゃないのか、フワフワした時間が終わりました。
ラストは「ナイトクルージング」。ゲストボーカルの2人も参加して、フィッシュマンズの時間が終わってしまいました。これからフィッシュマンズがどんな活動を続けてくれるのか、楽しみに追いかけ続けたいと思います。福岡に来てくれて、ありがとう。
大団円の1日目が終了!ここま読んでくださった皆さん、ありがとうございました。当日現場にいた方も、いなかった方も、CIRCLEの雰囲気がお伝えできていれば嬉しいです。2日目レポもお楽しみに!