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ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.4

ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.4

平成の中島みゆきは、令和をどう歌うのだろうか?


川崎の凶悪事件をきっかけに、ひきこもり、なんて話題になってますが、自分自身の経験を振り返ると中学・高校は無欠席記録を更新していたものの、大学の講義は、1日目から遅刻をやらかして、そのままズルズルと自堕落な大学生生活に入った記憶しかないわけです。週に1,2回出席を取る講義に出る以外は引きこもっていて、あと不定期のバイトに出る程度しか出かける用事もなくて。特に生きる目標もなくて、時間を持て余して、本を読んだり、音楽聴いたりしかありませんでした。それも現在のようにマニアックに追及していたわけではなくて、流行りものやテレビ・ラジオで聴いて引っかかったものを中心にという程度。

幸いなことに下宿の一人暮らしだったので、毎日買い物に行って、食事の準備くらいはしないといけなかったために、完全なるひきこもりにはならずに済んだという、19歳20歳くらいの日常だったのです。それまでがあまりにも規則的で他律的な生活だったので、いきなり自由になってどうしていいか分からない状態だったのでしょうね。必ずしもその頃聴いていた曲というわけではないですが、浜田省吾さんの「19のままさ」と、20歳が歌詞に出てくる、篠原美也子さんの「誰の様でもなく」。しかし、見事にメジャーなアーティストとマイナーなアーティストの組み合わせだなぁ。

結局、ひきこもり生活から脱却したのは、司法試験の勉強を始めることにして、予備校に週3日ほど通うようになった20歳の時。

やはり何か目標を持てる生活というのは、たとえそれが受験勉強なんてものでも、全然違うのではないか、と身を持って実感したのでした。「19のままさ」の舞台も予備校だけど、これはおそらく大学受験の予備校。ハマショーには、コレを経て、大学に入った春を歌った「遠くへ」という曲もあって、こちらのサブタイトルが1973とあるから、僕の生まれ年。

篠原美也子さんは、確か、ラジオのオールナイトニッポンのパーソナリティをしていた時に聞いていたのだと記憶してるけれど、ちょうど僕が20歳の時に、たかが20歳、されど20歳なんて歌詞を聴いて、未だに耳に残っているのです。平成の中島みゆきなんてキャッチコピーで売り出されてて、中島さん本人がドラマ主題歌の「空と君のあいだに」で大ヒット飛ばしたタイミングだったりして、コレじゃあ売れないというのも仕方ない、と思ったりもしましたが。

でも、時々ふと思い出して検索かけてみてると、音楽活動は続けているようで今では、平成の中島みゆきは、令和に何を歌うのか?なんて下世話な興味を持ったりもしております。

しかし考えてみれば、篠原さんだけではなく、「平成の〇〇」なんてキャッチフレーズを付けられた人たちの令和時代の活動って、どうなっていくんでしょうかねえ。それはともかく篠原さんは機会があれば一度ライヴに足を運んでみたいアーティストです。トークも面白いはずなので。そこも中島さん的です。

実は僕の「最終陳述」という小説は、登場人物の名前、東北の地図を見ながら考えていて、宮古を美也子にしたという因縁もあります。


法坂一広作品
法坂 一広
法坂 一広

法坂 一広 IKKOU HOUSAKA

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法坂一広
1973年福岡市出身
2000年弁護士登録(登録名は「保坂晃一」)
2011年「このミステリーがすごい!」大賞受賞2012年作家デビュー
著書に弁護士探偵物語シリーズ・ダーティ・ワーク 弁護士監察室
ブログhttps://ameblo.jp/bengoshi-kh