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ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.6

ロックン・ローヤーの音楽なんでもコラム Vol.6

ブルースとブルーズの濁点を超えた相違。というか、十二小節と十三回忌の関係についての考察


どうも、ブラックミュージックのいちジャンルである、ブルーズをジャズとともにこよなく愛しているようだが、ココで言うブルーズはあくまでズと濁るのが正しく、カタカナ表記では区別できないが、Lであって、Rではないのである。

一方で、濁らないブルースとは何なのか?

特に指しているジャンル自体は変わらないと思われるわけですが、ズと濁ったら発音しにくいから、似たような単語の発音を流用してブルースと呼んでるだけのような気がします。ということは、ちょっと哀調を帯びた土の香りのする音楽。

日本で言えば、演歌に近いのでしょうけど。最初、例えば伊勢佐木町ブルースなんかは、そういうニュアンスで使われた用語だと思うわけですが、アムロちゃんの19ブルースになってくると、もう意味が不明。

他方、これなんかは、本来のブルーズとほぼ同じと思われる、アニメ「あしたのジョー2」のエンディングテーマ。ミッドナイトブルース。荒木一郎さんという、渋いミュージシャンですねえ。

実は、「あしたのジョー」というのは、僕のバイブルなのです。全く記憶になかったけれど、ブルーズとジョーがこんなとこで出会ってます。シブい。

シブいついでに述べてしまうと、ブルース・リーや、ブルース・スプリングスティーンの場合、スであって濁らないだけでなく、Rなので、ブルーズとは別のカテゴリに入れるべきなのだが、コレはコレで好きなので、また困った次第なのである。

と、ココまで書いて思い出すドラマのワンシーンがある、ココまでの流れと、ほんの少ししか関係しないのだが、「太陽にほえろ!」のブルース刑事登場の回。七曲署では刑事をアダ名で呼ぶ決まりになっていて、新任の澤村刑事にあだ名をつける段階に来て、本人がブルースとでも呼んでくれ、と。由来は音楽だったのですが、他の刑事はブルース・リーなんてピッタリみたいなことを言って賛同、本人はいや音楽だと反抗したシーン。でも、音楽が由来なら、ブルーズと濁るべきだったんだな。

考えてみれば、このドラマのテーマ曲なんかは、わりと、モダンなブルーズっぽいものだし、ここが僕とブルーズの出会いだったのかな。いや、ジョーの方が先だったかな。

ところで、去年あたりは安室ちゃんの引退で大騒ぎでしたが、僕はアムロちゃんの全盛期、ずっとZARDのファンだったので、アムロちゃんには何の思い入れもなく、静観してました。と、そう言えば、ZARDにもブルースと付く曲があるんですよね。余り知られてませんが。君へのブルースという曲。泉水さんの生前最後のシングルになったハートに火をつけてのカップリング曲。作詞は多数あった泉水さんですが、これは珍しく作曲まで担当。形式的にブルーズの条件まで満たしているかどうかは置いておいて、ZARDとしては、他にない、ブルージーな雰囲気を追求しているのは分かります。ふと考えてみると、今年は、泉水さんの十三回忌だったんだな。全く関係ないけど。ブルーズは十二小節を繰り返す形式の音楽だということになっているということで、亡くなって十二年の無理やりなオチ。



法坂一広作品


法坂 一広
法坂 一広

法坂 一広 IKKOU HOUSAKA

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法坂一広
1973年福岡市出身
2000年弁護士登録(登録名は「保坂晃一」)
2011年「このミステリーがすごい!」大賞受賞2012年作家デビュー
著書に弁護士探偵物語シリーズ・ダーティ・ワーク 弁護士監察室
ブログhttps://ameblo.jp/bengoshi-kh