Bigmouth WEB MAGAZINE

音楽MUSIC

土曜日の夜に 第1回

土曜日の夜に 第1回

子供の頃に聴いた音楽は?よくある質問のひとつである。

10代の頃はテレビの中から聞こえる音楽、そして60年代~70年代洋楽の名曲を時々聴いていた。

鍵盤楽器を主体とした女性ボーカルやそこから派生したもの、そしてビートルズはツアーの移動中の車内でもとにかく一生分くらいは聴いたと思う。

一時期は素直に聞けなかったジャンルも今はすうっーと聴く姿勢が整う。

纏う服が変わっていくようにその時々で音楽の聴き方や好みが変わっていることを私はとても楽しんでいる。


いつだったか忘れてしまったけれど、福岡パルコのボンジュールレコードでアルゼンチンの音楽家、カルロス・アギーレのアルバムを購入した。

とても好きなピアノで調べていると来日公演が近い日程であることを知り岡山の教会で見ることができた。

ここではないどこか、情景の浮かぶとても豊かで芯のあるピアノは本当に素晴らしかった。


アルゼンチンといえば数日前。自宅のCD棚を見ているとファナ・モリーナの「セグンド」(髪が一面にデザインされたインパクト大のジャケット)がふと目に留まり、購入当時ディスクが擦り切れるんじゃないかというほど聴いたことを思い出した。

久しぶりにスピーカーから音を鳴らしてみると、柔らかさとユーモア、シンセ、ギターのフレーズ、ファナ・モリーナの声がよりこれまでよりも鮮明に聴こえてきて、10年分の余白を越えた感動を楽しんだ。

このセグンドが発表された頃のファナ・モリーナの年齢と、現在の私は数字的にはいわゆる同年代にあたる。


年齢でどうこうという話ではないのだけれど、音楽だけではなく、映画、本など、作者(監督)と同じような年齢になった時、その作品への理解が深まるということはとても多い。

この話は栗田編集長ともやり取りの中で少し話題になり、ああ、やっぱりそうだなぁと再確認することができた。

音楽は人生を頑張っていると、時々何も聴けなくなってしまうこともあるし、こんな時だから音楽が聴きたいという夜もある。

日々の葛藤も夢も、そして何も考えなくていい自由も、時代も年齢も受け止めてくれる音楽へたくさんのリスペクトを込めて。



選盤 Juana Molina ー Segundo 




はじめまして
Masami Takashimaです。
栗田編集長より何か書いてみない?と声をかけていただき、筆を執ることになりました。
編集長が司会の番組内で、当時コーナーを担当させていただいたのは20年前。
時を経てこのような機会をいただいてとても嬉しいです。栗田編集長ありがとうございます!


Masami Takashima
Masami Takashima

Masami Takashima Takashima Masami

1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com