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土曜日の夜に 第10回 夜に聴きたいアルバム10枚 Text by Masami Takashima

土曜日の夜に 第10回 夜に聴きたいアルバム10枚 Text by Masami Takashima

滝に打たれるような気持ちになった夜があった。もやもやしたものと向き合う時間が長くなった日々に考えすぎる傾向のある私はすこし疲れてしまっている。先日とても久しぶりにマイブラ(My Bloody Valentine)の「Loveless」に針を落としたら、頭上から水を浴び続けているようなそんな気持ちになって、全身から余分なものが洗い流されたような感覚を味わった。頭の中がすっきり。音楽で得るものって受け手の状況や時間によって形がさまざまに変化して面白い。家で聴く真夜中のマイブラに足りないものは音量だ。



当コラム、今回で10回目(毎月読んでくださってありがとうございます)。「土曜日の夜に」というタイトルゆえ、何度も登場するシチュエーションは「夜」。連想する楽曲の一般的なイメージといえば、小粋なテンポで歌うダンスチューンや、スウィートでメロウなビートトラック、ネオンが似合いそうなムード歌謡などだろうか。いや、まだまだあるけれど、そこでは閉ざされたプライベートな時間や空間での人間模様を描いていることが多いと考える。恋人かもしれないし、家族や友人。そこには誰かと誰かが一緒にいる場合が多いのかもしれない。



私は「ひとり」の作品が好きだ。ひとりっきり、内省的だけど、静かなる灯りのようなもの、研ぎ澄まされたものを表現しているものにとても惹かれる。作品の中に登場する人物は人生や、日々の苦悩と対峙している。悩み、心が揺さぶられる陰影が感じ取れるもの、そういう作品がとても好きだ。それは私自身作り手としても同様で、そういう部分を表現としてちゃんと拾い上げていきたいと思っている。


コラムのタイトルを考えている時に、たまたまSaturday Night FeverのTシャツを着ていて、これだ!と思った私。

節目ということで、夜に一人、作品に真正面から対峙して聴きたい10枚をセレクト。




Neil Young「After the Gold Rush」


Solange「A Seat at the Table」


Robert Wyatt「comicopera」


Kraftwerk「Autobahn」



Beach House「7」


Laurel Halo「Dust」


Built To Spill 「Keep It like a Secret」


GANG OF FOUR「entertainment!」


冨田勲「月の光」


My Bloody Valentine「Loveless」



Masami Takashima
Masami Takashima

Masami Takashima Takashima Masami

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1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com