酒場SAKABA
くりしんの「つい、デキゴコロで」VOL.3
酒場は、酔いは、オソロシイ。
日常からの解放感がそうさせるのか。
いや、その現場こそ、日常だ。
でぶグルメライターくりしんが、
ベロベロ酔っぱライターに。
はたして「何を切り取る」のか!
おそらく魂と命を削っているであろう、
渾身の実録「思いつき」解説付き軽佻浮薄エッセイ。
くだらないことばかりして生きてきました。
「警固ヤキトン」は客席10席もない3坪の繁盛店だ。
名物は「骨付きヤキトン」(1人前1200円)。
スペアリブでやんす。
もうウマソーでしょう。
ほら、もう一枚サービスカットを、ほら。
取り分けたあとの接写でございますよ、接写。
仕込みとしてはまずは豚のあばら肉を包丁でていねいに開くんですな。
そのあと、しょうゆベースの秘伝の元ダレに豚骨スープを加えたものを揉み込むわけです。
肉に、しっかりニクニクニクっと。
それをけっこう高温の炭火で一気に焼き上げる。
表と裏を返しながら肉汁を閉じ込めたあとは肉と骨の「キワ」に火が入るまでおよそ5分。
シルバートレイにのっておでまし、おでまし、となる。
店は当然ながらいつも香ばしい。
あ、店内の空気がですよ、匂いがです。
ヤキトンの煙に燻製された空間。
もう、それだけでビールが飲めちゃいます。
まあ、それは言い過ぎですな♪
この店はぜひ「気になる女性」と行ってほしい。
だってね、なんといってもね、飾らない店で彼女が「肉にかぶりつく」「骨のキワの肉を攻める」わけですから。
ケモノにかえるわけですな。
豪快にかつ大胆にがぶりついたあとは、恥じらいもなくしゃぶりつくす。
もしですよ、もし万が一の話ですが、目の前の彼女が、箸先で骨と肉をていねいに切り離し、骨に残っている「キワ」に見向きもせずに皿の端においやったならば。
おいやったならば、今晩は彼女のことをどーともできないし、そもそも脈はない。
いや、そんなオンナならコチラから願い下げだ、のレベルです、はい、もう間違いありません。
閑話休題。
でね、ココの料理のなかで個人的にオイラが気に入っているのが自家製の「手づくりキムチ」。
「骨付きヤキトン」を注文すればサイドに無料でついてくるもんでやんす。
こんな感じで。
コレが、このキムチがめっぽうカライ!
唐辛子の辛さだけでなはい、アブナイ種類の辛味が加えられているヤツ。
「辛くないって言われ続けてきた結果、ここまで進化したったいね」
今にも飛び出しそうなくらいの大きな目をしている店主がそう言って目を細める。
「好きです、大好きです、あたまのてっぺんから汗がふきだしてます、もう」
オイラは遠い目をした店主を現実に引き戻すためにそう続けた。
リッタージョッキの男前ビールを3杯を飲んだ。
いわば、それまでのアルコール摂取は助走にすぎない。
問題はどちらから始めるかだ。
オリジナルすぎて怖いぐらいのオリジナルハイボール2種。
まずは「シロハイ」(中)をオーダーした。
親切な店だ。
味が薄かったらと「追いシロップ」まで持ってきてくれる。
店主に隠れてこっそりとシロップ原液を指先につけて舐めてみる。
ジンジャーといえばジンジャーなのだが神社に奉納したくなるほどのジンジャーではない。
甘い。
甘いのでガブガブ飲めちゃうわけですな。
もうちょっと辛口がいいなぁ、という人は「バクハイ」がおすすめだ。
「シロハイ」に「ウイスキー」をプラス。
もはやカオスじゃあーりませんか。
呑みすすめる。
あらかた「骨付きヤキトン」を食べた後、ほかの「豚足」や「煮込み」などを追加注文するのがオトナというもの。
という話をするということはオトナじゃなかったわけです、この日のオイラは。
ひたすらキムチで粘ったあげく、
「大将、このキムチ、いっちょん辛くないばい。つまらん」
「じゃあ、全部食ってけよ」
すいまっしぇん、ついデキゴコロで。
君、いつか行くといい《警固ヤキトン》には夢がある。
場所 警固本通り入口にあるウエスタンの隣
電話 092-731-4518
営業時間 18:00~23:00
休み 不定休