酒場SAKABA
ロケハンしときましたー! Vol.28 「鍵屋」東京・鶯谷
巷のヴァイブス溢れる酒場を、皆さんに代わってわたくしナカムライダーが勝手にロケハンしてきました!
遠かったり用事なかったりで行く機会ないかもですけど、もしもの場合はぜひ参考にしてください。
見た目だけ整えたようなフニャちん酒場はスルーします。
28軒目 「鍵屋」東京・鶯谷
山手線のJR鶯谷駅を降りて北口から街へ出ると、辺りは安酒場とラブホテルが林立してる雑多な光景。
狭い路地を抜けて、大通りをひとつ渡った裏通りにすっと佇むように建ってる古民家が、創業がなんと江戸時代という鍵屋(かぎや)さんです。
1856年(安政3年)に酒屋として創業し、今で言う角打ちのように店の一角で酒を提供し始めてその後居酒屋となり、その創業の地から現在の店舗に移転したそうです。
安政3年っていつだよ!って感じですが、島津家の篤姫が第13代将軍徳川家定に嫁いだ年だそうです。
店内はとても落ち着いた雰囲気で背筋がスッと伸びるようです。
大正元年に建てられた日本家屋を改装した店舗だそうですが、梁も柱も全然きれいでそんなに古い建物とは思えませんし、何より品が漂っています。
店員さん方の所作もいちいち美しく、見惚れます。
言葉遣いも非常に丁寧で、普通なら「ありがとうございます〜」と言うところを「ありがとう存じます〜」とおっしゃってました。
メニューはこんな感じでして、昔からそんな大幅には変わってないんだそうです。
まぁもちろんお値段の方はアップデートされてますけど。
こういう手書きのメニューって、なんかすごい美味しそうに感じるんですよねぇ。
さて、何食べようかな。
まずはたたみいわし。
サッと炙って、ほんの少し醤油を垂らしてあります。
あぁ、早くもたまらない。
続いて味噌おでん。
左からちくわぶ・こんにゃく・焼き豆腐
あー、うまい。
ベターっと味噌が塗ってあって何だか味が濃そうに見えるかもですが、全然いい塩梅でフッと柚子の風味が香ります。
もうビールはやめて、酒だ。ぬる燗だ!
そして玉子焼き。
普段ならこの1片ぐらいパクッと口に入れてしまうけど、鍵屋の玉子焼きは土曜日限定。
もったいぶって箸で小さく切って、ぬる燗をあおりながらちまちまと口に運びたい気分にさせられます。
うま。
寿司屋で出てくる玉子焼きとも、居酒屋で出てくる玉子焼きとも、お弁当に入ってる玉子焼きとも、どの玉子焼きとも違う玉子焼き。
初めての味だけど、なんだかすごく懐かしい玉子焼き。
そして酒に合う玉子焼き。
次はとり皮焼きとくりから焼き。
これまた酒が進むわー。
ぬる燗なのでグビグビ飲めちゃう。
くりから焼きをご存知ない方のために簡単にご説明しますと、鰻をさばいた時にできた鰻の切れ端を串に巻いて焼いた物です。
なんでくりから焼きって言うのかはよく知りませんけど、美味いです。
この日は5人でお邪魔しましたので、お猪口も5個。
グビッと飲んで、櫻正宗のぬる燗を何度もおかわりしてしまいました。
後になって知ったんですけど、鍵屋さんは女性だけだと入店不可なんですって。
グループに男性が1人でもいればOKらしいんですけど。
先代の女将さんからの遺言だそうで、これまでずーっと守ってこられた大事な掟なんだそう。
そして最後にとりもつ鍋。
甘い割下がベースのお鍋で、鶏のレバーや砂肝、玉ねぎ・こんにゃく・麩・豆腐なども入っています。
薬味のネギは年季の入った木箱入りで供されます。
あー、いちいちかっこいいなぁ。
そしていちいち美味い。
日本最古の酒場と言われるお店が、きちんとリスペクトに値する味と雰囲気を守り抜いていて、なんだか清々しいような嬉しい気持ちです。
ちなみに「日本最古の酒場」と検索すると、以前こちらでもレポートした東京・神田の「みますや」という記事が多く出てきますが、こちら鍵屋さんは元は酒屋で店舗移転もしてますが創業自体は1856年ということで、みますや創業の1905年より半世紀ぐらい先輩なんです。
みますやは創業以来、現在の神田の建物でずーっと営業されているということで、それも確かに最古の酒場ということで間違いないでしょう。
しかし、業態変更して移転もしたかもだけど、創業が一番古い酒場は鍵屋さんということもまた間違いのない事実とのこと。
↓ちなみに以前UPした、神田「みますや」のレポートはこちら。
https://bigmouth.co.jp/sakaba/1215.html
さてとお会計を済ませてみんなで席を立つと、店員さんが優しい表情で「ありがとう存じます〜」と送り出してくれた。
今度からちょっと使ってみようかな、ありがとう存じます。
鍵屋(かぎや)
住 所:東京都台東区根岸3-6-23-18
最寄駅:JR鶯谷駅北口徒歩5分
営業時間:17:00~21:30
定休日:日曜 祝日