文化CULTURE
明日から福岡でも公開!『ガリーボーイ』
インド映画は長い、、、
見るのにパワーが必要な分、見返りも大きい。
本誌連載の徳田和歌子さんのインド旅世界放浪 ~シヴァ神と仙人サドゥ~
を20回に渡り読みながら最新のインドをも感じていた。
昔から続く伝統と最先端の技術が共存している国。
先日白石和彌監督作品『ひとよ』のレビューでも触れたが、
イギリスなら『わたしは、ダニエル・ブレイク』
日本なら『万引き家族』に代表される圧倒的な格差社会を描いた作品への評価は高く、
世界中どの国であっても直面しているリアルだろう。
ハイパー資本主義の限界と、勝ち続けることだけが正義であると盲信する旧世代への警鐘は、
映画界では鳴らされ続けている。
音楽では世界中を席巻するヒップホップ。
かつてのロックの役割を担いカウンターカルチャーとして在り続けている。
日本だけが中々メインストリームにならないのはまだリアルが見えていないのか?
「自分だけは大丈夫」
イギリスに負けない圧倒的な階級社会のインドならどうか?
『使用人の子供は使用人になるものだ』と親に言われ、諦めるのか?
親のすすめる相手と結婚をするのか?
という2本の軸をヘビーではなく見せる作品の監督は女性。
ゾーヤー・アクタル。
『人生は一度だけ』(2011)でヒット。
『ボンベイトーキーズ』(2013)『慕情のアンソロジー』(2018)の2作はNetflixで配信中だ。
今作は実在するムンバイのダラヴィというスラム地区から本物のヒップホップヒーロー
『Gully Boy』NeazyとDivineの半生が描かれている。
脚本も女性で、女性の開放も見事に表現。
ユーモアと皮肉を交えエンタメに仕上げている点がもっとも魅力的である。
日本語字幕にはジャパニーズヒップホップの第一人者いとうせいこうが監修で参加。
予定調和と自主規制にまみれた日本のシーンには見られないリアルを知る機会にして欲しい。

『ガリーボーイ』
10月25日(金)ユナイテッド・シネマキャナルシティ13他にて公開
監督: ゾーヤー・アクタル
出演:ランヴィール・シン、アーリア-・バット、 シッダーント・チャトゥルヴェーディー 、カルキ・ケクラン他
日本語字幕:藤井 美佳/字幕監修:いとうせいこう / 原題:Gully Boy
配給ツイン
公式サイト:http://gullyboy.jp/

1971年福岡市生まれ。大学時代からラジオ制作に携わる。
2015年 cross fm特別番組『HAPPY HOUSE 〜 The Family's Starting Point〜』で民間放送連盟賞 第11回日本放送文化大賞グランプリ受賞
2018年 CROSS FM特別番組『Let the Good Times Roll!!』が平成30年日本民間放送連盟賞 ラジオエンターテインメント番組部門で、最優秀賞を獲得。
現在はCROSS FM URBAN DUSK、CROSS FM MUSIC AMP、NHK TV 六本松サテライトを担当。
BIGMOUTH WEB MAGAZINE編集長
SpotifyのPLAYLIST→ http://urx3.nu/Rl6I
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