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山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.21〜コをめぐる顛末、still goes on

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.21〜コをめぐる顛末、still goes on

緊急事態宣言を下しておきながら、オリンピックは強行するというスーパー意味不明な事態をミュージシャンたちの多くは怒りと虚しさとともになんとか乗りこえた。


 感染者は急増する一方。オリンピックとの因果関係は明らかにされないまま、いつものように緊急事態宣言は延長される。苦笑。ほんとに出来の悪い映画を見ているようである。もはや、気分は緊急でもなんでもない。諦めにも似た殺伐が街を漂っている。


 スマホを達人のように操る若者たちを渋谷に並ばせてワクチンを打とうとし、デジタルが苦手な老人たちにネットでワクチンの予約を取らせる。もはや出来の悪いコント以下のような愚策を連発し、自らの手腕をアピる都知事。


 書き出したらキリがない。総じて狂ってる。


 ロックフェスが困難の中、開催された。人民たちは意見の違うものたちを攻撃する。アホめ。匿名なんて、意見でもなんでもないのだ。なにか、ものを申すなら、名前くらい名乗れ。恥を知れ。善悪ではない。多様性こそ、文化の本質であるべきなのだ。自分と違う意見に耳を傾けることができないやつが多すぎる。


 同調圧力。結局、「分断」を生む。今は世界的に「unite」するべきときだ。そのために音楽に何ができるのか、考えるときだ。


 そうするためにもPCR検査がマストになる。ここのところ、3日に1回はやらざるを得ない。費用だってバカにならない。で、検査センターと呼ばれる民間のものが、どこにあるか知ってる?たいていはサラ金や携帯の修理ショップが入ってるビルに存在してたりする。いっとくけど、それらの商売を揶揄してはいない。けれど、そういうビルの中にあるってことはどういうことなのか類推されたし。


 たとえば、新宿。サラリーマンの通勤時、夜の仕事が始まる前は料金が高い。


 俺は思う。オリンピック、パラリンピックをやる暇があったら、なぜ、どんな人間でも、どんなときでも、無料でPCR検査ができるシステムを税金で作らないのか?んなもん、作れるだろうよ。俺が首相なら、今やるね。全力で。


 最後にワクチン。


 俺が住んでいる自治体には満足な数が供給されず。ともだちが力を尽くして、文化庁の枠で取ってくれた。場所は六本木の国立美術館。しかし、打たれたモデルナは異物混入の番号とビンゴだった。もう笑うしかなかった。俺のアドレスを知っているくせに、その情報がもたらされたのはネットのニュースを通じてだった。謝ってほしいわけじゃない。でも、どうしてそういう情報さえスルーするのか、意味がわからない。正直、この国は終わってると思った。


 だから、俺は異物混入をネタにする。せめて、笑いくらいは取ろう。


 コをめぐる顛末。still goes on。


 愛をもって、生き延びようぜ、兄弟、そして姉妹。


山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.20〜アナログ盤というレジスタンス

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.22〜コをめぐる顛末、その2 

山口洋
山口洋

山口洋 HIROSHI YAMAGUCHI

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ヴォーカリスト、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、そしてランナーにして、スノーボーダー。

1979年、福岡にてヒートウェイヴを結成。1990年、上京しメジャーデビュー。現メンバーは山口洋(vo.g)、池畑潤二(ds)、細海魚(key)。山口洋がソロツアーの旅で新たな曲をつくってバンドに持ち帰るというスタイルで、ほぼ全曲の作詞と作曲を担当する。1995年の阪神・淡路大震災後、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)と「満月の夕」を共作。2011年の東日本大震災直後からは「MY LIFE IS MY MESSAGE」プロジェクトのさまざまな活動により、福島県の相馬をピンポイントで応援し続けている。仲井戸麗市、佐野元春、遠藤ミチロウ、矢井田瞳ら国内のミュージシャン、ドーナル・ラニー、キーラらアイルランドを代表するミュージシャンとの共演も多い。
http://no-regrets.jp