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山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.32〜遥かなる帰郷

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.32〜遥かなる帰郷

 にゃ、にゃんと。


 3年ぶりに帰郷するのである。


 俺は在日九州人だと思って関東に暮らしてきた。若干、言葉は「なんとかじゃん?」みたいなヘナチョコ語を使ったりするようになってしまったが、こころの故郷はいつだって九州にある。


 どうせ帰るなら、イベントにしたくて、バイクをフェリーに乗っけて24時間かけて帰るっつーアホなことを考えた。そんなわけで数日後には遅れてきたイージーライダーが門司港に上陸してるはずなのである。


 そこから海沿いに南下して、あの娘とデートした浜とか、高校時代にグレてたエリアとか、なくなってしまった「かしいかえん」とか、志賀島とか、自分の目に焼き付けて、墓参りができたらな、と思う。


 先祖のみなさん!恥かしながら帰って参りました!って感じで。


 なわけで、同級生がオレたちが育った町の写真を送ってくれたのだが、当たり前だけれど、昭和の面影はもうまるでない、、、。ここはシンガポールか、、、。当時と同じなのは神社仏閣だけ。


 思うんだけど。


 オレたちはいい。この国が高度成長からバブルに湧いて、それから凋落の一途をたどるのを目の当たりにしてきた。でも、これからを生きる子供たちは、あの下品な看板がこれ見よがしに立ち並ぶ大型郊外店を原風景として生きていくことになる、、、。


 それはあんまりだと思う。


 福岡の色濃い夏の原風景。


 燃えるような緑の中を蝉がデスメタルみたいに鳴きほこる。空は抜けるように碧く、焼けるように熱い真っ白の砂浜を裸足で走りぬけたなら、向こうには海。オレたちは内海と外海の違いを知ってるんだぜ?


 忘れようにも忘れられない夏の風景。福岡市東部の話なんだけど、場所を記すのは野暮だからやめておくね。みんなそれぞれに夏の原風景があると思うから。


 50年ぶりに、それを探してみようと思っている。

Photo by 平川雄一朗


博多今昔のブルース Vol.31〜歌には旅をさせよう

山口洋
山口洋

山口洋 HIROSHI YAMAGUCHI

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ヴォーカリスト、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、そしてランナーにして、スノーボーダー。

1979年、福岡にてヒートウェイヴを結成。1990年、上京しメジャーデビュー。現メンバーは山口洋(vo.g)、池畑潤二(ds)、細海魚(key)。山口洋がソロツアーの旅で新たな曲をつくってバンドに持ち帰るというスタイルで、ほぼ全曲の作詞と作曲を担当する。1995年の阪神・淡路大震災後、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)と「満月の夕」を共作。2011年の東日本大震災直後からは「MY LIFE IS MY MESSAGE」プロジェクトのさまざまな活動により、福島県の相馬をピンポイントで応援し続けている。仲井戸麗市、佐野元春、遠藤ミチロウ、矢井田瞳ら国内のミュージシャン、ドーナル・ラニー、キーラらアイルランドを代表するミュージシャンとの共演も多い。
http://no-regrets.jp