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山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.33〜民謡に取り組んでみる

山口洋(HEATWAVE) |博多今昔のブルース Vol.33〜民謡に取り組んでみる

 コロナの世の混乱もなんつーか、久しい。三回転半くらいした感覚がある。もういいっちゅーに。身近な人間もどんどん罹患していく。このサイトの主宰者、クリゼン、君もか、、、。こんなとき、できることは軽症であることを願うことだけ。アホ政府はもはや全体数は把握しないのだとのたもうておる。


 んなもん、初期にかかった者も今苦しんでいるクリゼンも苦しみに於いては等しいはずなのにね。


 元から政治なんて信じてはいないけど、ますます気持ちは遠く離れた。そして、コロナが(逆説的に言ったとしても)良いインスピレーションをもたらしてくれることはなかった。


 オレの場合、歌を描きたいという動機がまるでなくなってしまった。最初は才能の枯渇かと疑ったが、どうやらそうではない。世界を見渡しても、あれからいい音楽は生まれにくくなっていると感じる。


 こんなとき、どうしたらいいものか。しばし考えて、気づいた。


 時代の荒波を乗り越え、人のこころを経由して生き残った「trad - 民謡」を深く追求してみるのはどうだろう?そこにはサヴァイヴするためのヒントが隠されている気がしたのだ。


 民謡はほんとうに素晴らしいのだけれど、ポップミュージックからは隔離されている。オレは民謡然としたものには興味がなくて、自分のフィルターを通して新しい解釈をしてみたかった。つまり勝手に民謡に新しい洋服を着せてみる作業。


 なかなか、どうして難航もするのだが、取り組んでいるうちにその深さが身に沁みてくる。なぜ、歌い継がれたのか。それだけのキャパシティーとタフネス、稀にエヴァー・グリーンなジョークが確かに存在しているのだった。


 すげぇな。


 うまくいけば、まずはアナログでリリースしてみようか、と。もっとうまく行ったら、それらの曲を身体と血の中に入れて、コロナが開けた暁にはギター1本サラシに巻いて海を渡り、NYでジャズの名手たちと一発で録音してみたいと思っている。


 夢想するのはタダだからね。そんな意味でもコロナには負けたくないのだよ。陰謀説でもなんでもなく、これは人為だとオレは思ってるからね。すべてニンゲンの思い上がりなんだってば。


 謙虚になんなきゃ。


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山口洋
山口洋

山口洋 HIROSHI YAMAGUCHI

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ヴォーカリスト、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、そしてランナーにして、スノーボーダー。

1979年、福岡にてヒートウェイヴを結成。1990年、上京しメジャーデビュー。現メンバーは山口洋(vo.g)、池畑潤二(ds)、細海魚(key)。山口洋がソロツアーの旅で新たな曲をつくってバンドに持ち帰るというスタイルで、ほぼ全曲の作詞と作曲を担当する。1995年の阪神・淡路大震災後、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)と「満月の夕」を共作。2011年の東日本大震災直後からは「MY LIFE IS MY MESSAGE」プロジェクトのさまざまな活動により、福島県の相馬をピンポイントで応援し続けている。仲井戸麗市、佐野元春、遠藤ミチロウ、矢井田瞳ら国内のミュージシャン、ドーナル・ラニー、キーラらアイルランドを代表するミュージシャンとの共演も多い。
http://no-regrets.jp