音楽MUSIC
土曜日の夜に 第2回 山本精一 「LIGHTS」Text by Masami Takashima
産直(産地直送のお店)に行くと思いがけない出会いがありいつも楽しい。
朝の時間に余裕があるときにはつい出かけたくなる。
生産者の手によって午前中のうちに運ばれる採れたての旬の野菜はもちろん、秋が深まってきた今はフルーツも豊富で様々な品種が並んでいる。
最近だとドラゴンスイーツや、時にはスーパーでもあまりみかけない野菜、珍しい花など、色々と目移りしながら楽しめる。
いつだったか名前に魅かれて購入したシャガールという名のマム(菊)、ベージュピンクの優しい色でとてもかわいい花だった。
産直なので、パッケージには生産者のお名前が書かれているのだけれど、買っているうちに気がついた。
選んでいると少し珍しい品種や色の花の生産者はだいたいいつも同じ方が作られたもの。
風、水、光、細やかなお手入れとともにどのような想いでこの花たちを育てているのか伺ってみたいと興味が湧いてくる。
生活に密接した良い時間。
私は日本の各地で鳴る音楽が好きだ。
世界各地の風土を感じる音楽のように、暮らす場所で音楽を作り人生を削りながらフロアを育て続けている各地の音楽家たちの気概や姿勢に10代の頃からとても多くの影響を受けてきた。
孤独や喜び、様々に抱えた想いを受け止めてくれる無くてはならない場所や音楽、誰かにとっての生活の一部であり、生きるために必要な時間でもある。
今年、福岡在住の音楽家・バンドによるリリースの勢いが目覚ましくてとても刺激を受けている。
揺れ動く2020年、まだ出会っていない様々な街から発信される音楽にもアンテナを張りながら、私も進んで行きたいと思っている。
今月の選盤
山本精一 「LIGHTS」
今、私が生活の拠点としている香川で、数年前に開催されたイベントでメインアクトの一人として出演されていた山本精一さんのライブがとても素晴らしかったことを今も鮮明に覚えている。その日の山本さんはロングセット、建物の外は瀬戸内海というシチュエーションで、全編ギターノイズスタイルの演奏を存分に堪能させていただいた。アルバム「LIGHTS」はアコースティックギターで構成されている。南米の音楽のようでもあり、山本さんが歌う羅針盤を聴いているようでもある。花をジャケットに用いられていることにも何か秘められたメッセージがあるのかもしれないと思いながら。
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1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com