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土曜日の夜に 第4回 坂本慎太郎「ツバメの季節に」Text by Masami Takashima

あっという間に11月が過ぎて2020年の最終月。

当コラムも大変ありがたいことに4回目の更新、九州に思いを馳せながら書き進めている。今年は九州に帰ることができなかった1年となってしまった。少し前に九州のお菓子や即席麺がたくさん届き、無性に食べたくなる熊本ラーメンへの思いを即席麺で満たす日々。

家の中で過ごす時間が多かった今年は、リモートでいくつかの音楽を作り、そして行ったことのない場所の音楽を聞くという音の旅を続けた。言語も気候も文化も異なる様々な国から発信される音楽、またその影響を受けたエキゾチックな音楽家の特に歌詞のない曲を好んで聴いていたと思う。オールド・タイ・ファンクを取り入れたクルアンビンは今や説明不要の人気グループだけれど(去年、Fuji Rock Fesの配信嬉しかった!) 私は鍵盤楽器を演奏するので、言わずもがな鍵盤楽器に注目してしまうことが多い。最近だとイスラエル出身NY在住のピアニストNitai Hershkovits(ニタイ・ハーシュコヴィッツ)。Jazzだけではなくビート・ミュージックを取り入れた作品の端端に流れるエキゾチックで聴いたことのない旋律に耳を傾けた。

自宅にいる時間が長くなると、家中のCDなどをひっくり返す機会は多くなり、ふと懐かしいものが見つかることもある。引っ越すたびに少なくなっていたはずだけど、ふと登場するカセットテープ。私はそもそもカセットテープ全盛期に10代を過ごしたので、雑誌のレビュー欄の気になる音楽や、好きなミュージシャンが聴いていたという音楽をメモしてはカセットテープで擦り切れるほどに聴いた。聞き過ぎてテープがよれよれになった音が面白くて何度も聴いているとテープが巻き込まれて大変、ということは日常的なことで、片面の最後で中途半端に切れてしまった曲をひっくり返してまた最初から聞くということあったなよぁと思い出す。まさかこの数年でカセットテープ再ブームの日が来るなんて思ってもいなかった。

そろそろ様々なところで年間ランキングなどが発表される頃。

私の個人的年間ベストはリリースされたばかりのこの1曲を

2020年 ありがとうございました

またお会いしましょう!


坂本慎太郎 ツバメの季節に



Masami Takashima Takashima Masami

1996年よりバンド活動をスタート。現在はニューウェイブ・アートポップトリオ miu mau(2006年〜)シンセベース・キーボーディスト。2004年よりソロワークを始動、ピアノ、シンセなどの演奏に加え、トラックメイクも自身で手掛けている。
ソロ・バンド共に作品多数。最新作はデジタル・シングル「Parallel World」熊本出身。
https://twin-ships.com/masamitakashima/
https://twin-ships.bandcamp.com